内容説明
慢性うつ、不安、依存症、摂食障害、自傷、発達障害、不登校、ひきこもり……長引く不調の原因は、大切な人との「傷ついた愛着」にあった! 幼い頃に親との間で安定した愛着を築けないことで起こる愛着障害は、大人になってもその人を苦しめ続ける。本書では愛着研究の第一人者が、愛着障害に苦しむ人や家族、支援者に、臨床の最前線から、回復のための最強メソッドと実践の極意を公開。医療のパラダイムを根底から変える一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
81
どちらかというと医療従事者(特に精神科医)に読んでいただきたい本。症状しか見ないで投薬治療するだけの医師が多すぎる。対人関係の悩みの根っこは多くが養育者との関係に由来するのだから、まずその問題を解決しようという提言がとても心強かった。治療に協力的な親御さんばかりではないと思うけれど、本当にちょっとした接し方の変化で人間は前向きになれるのだから。2017/05/12
ころこ
38
一応「オキシトシンというホルモンによって支えられた仕組み」とありますが、器質的に働くのではない、ともするとスピリチュアルのように受け取られる恐れもあるところが近代批判、現代医療批判として多くの読者を獲得した理由なのかなと推測します。「愛」着というと、これはもう宗教の類ですが、無根拠ではなくドグマがある訳でも無い。ただ目の前に愛する人がいて、その人に応じて対応する考え方が書かれています。要は粘り強く、人間的に接するにはどうすれば良いか、そのコツが書かれています。2022/08/30
ムーミン
38
今現在困っている子、その子に関わる多くの先生、保護者の困り感にどんな手を打っていけばいいのか。ヒントをたくさんいただきました。2018/06/01
活字スキー
34
日々医学は進歩し毎年莫大な医療費が費やされているにも関わらず、現代日本には様々な「生きづらさ」を抱えた人のなんと多いことか。その一因は、対症療法では解決出来ない心の問題にあり、それは遺伝子レベルに次ぐ強い影響を及ぼす「愛着」に問題があるのではないか……という岡田先生の本を読む度に、あまりにも自分の事を見透かされすぎてビビる。不安定な愛着スタイルはその人の認知をネガティヴに偏らせ、感情も不安定になり、様々な問題を引き起こす。2016/12/12
外枠発走
30
うつなどの精神疾患は、これまで医学的な診断により病名が告げられ、投薬などの処置を施されていた。しかし、原因は愛着障害にあるケースが多く、治療効果は十分でない。この本は、著者が医療刑務所ほかで治療した様々な事例をもとに、愛着障害の克服について述べている。愛着障害の背景には、様々な要因が絡んでおり、解決には長い時間と多くの労力を要する。今はよほどの重症でなければ、マンパワー不足で対応が困難だと感じた。普通に日常生活を送っている人でも何らかの愛着障害を抱えているようだ。対人関係の教科書にもなり得ると感じた。2023/02/05