内容説明
第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、帝国陸軍の検閲局勤務の石村大尉は特別高等警察の槻野課員の訪問をうける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍を捜していた。将軍は軍事ゲーム開発の第一人者だったが、アメリカ人抵抗組織に協力しているというのだ――21世紀版『高い城の男』と呼び声の高い話題沸騰の改変歴史SF。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
169
上巻を読み終わったところで表紙イラストから連想するような、ロボット活劇的描写はほんの片鱗のみ。今のところ作品の魅力は歴史改変SFとしての作り込み、異様に猥雑でグロテスクな世界観にあるように感じる。あとけっこう残酷。確かにディックの「高い城の男」を連想はするが、ディック作品を読んでいるというよりは、ディック原作をアレンジしたSF映画を観ているかのような味わい。陽性の娯楽作を予想して読んだら、陰性のディストピア小説だった。訳文が読みやすくこれはこれで面白いし、下巻でどう転ぶかまだわからない。続けて読んでみる。2016/11/14
KAZOO
126
ものすごいSFですね。ifの世界ですが、天皇のことをちょっと言っただけでも罪になってしまうとは、また戦後40年がたったその世界ではゲームや電卓いわゆる日本を代表するものが出てきます。ディックを参考にしたのでしょうがまるっきり別世界です。パシフィック・リムやガンダムの世界のようです。2018/02/22
HANA
72
フィクションの中では常勝のナチスと違って、あまり勝率の良くない大日本帝国。本作は『高い城の男』に続いて日本が勝った未来が描かれている。表紙からアメリカの大地を巨大ロボが進撃するトンデモ日本観溢れる作品かと思いつつ読み始めたら、ファシズムによる陰鬱な管理社会を描いていたというのもまた驚きであった。また御禁制の商品を追うというストーリーもディックだなあと。ただサブカルが易経の役割を果たしているかとちょっと疑問。今はディストピアを描いたものという以上の印象は受けないので、今後どう進んでいくか下巻に期待したい。2016/11/23
Shintaro
71
ピーター・トライアス初読み。献辞にあるようにPKDの「高い城の男」のオマージュです。創氏改名を予見するなどさすが韓国系米国人、易経より現実的です。ゲームの選択肢を当局がウオッチしていて、反体制分子を炙り出すなどPKDの時代よりサイバー感が進んでいます。その帝国陸軍で検閲を担当するベン石村、昼行燈を装っているが、なかなかの曲者です、その元上司の六浦賀将軍も。「高い城の男」ではオープンエンドで放り出されたので、続きを読みたいという読者にはいいのではないでしょうか。ジョン・リベルトの装画もいい。下巻へ。2017/01/08
ゆかーん
69
フィリップ・K・ディックの『高い城の男』に影響を受けている作品。こちらでは、日本がアメリカに勝った世界が描かれています。ロボットが苦手な私にとって、表紙の絵で躊躇してしまいそうでしたが、中身は人間同士の陰謀が渦巻いた闇の抗争でした。皇国が重要視され、アメリカ人にも日本名をつけることが義務付けられる世界。電卓という携帯端末ゲームの中では、アメリカが日本に勝つ様子が描かれており、この世界との対比が興味深いです。このまま、ロボットが出てこない方向で話が進んで欲しい所ですが、まだまだどうなるのか先が読めません…。2017/07/14
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