内容説明
大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木──そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
81
鈴木商店の流れをくむ某企業に勤めていた友人の死をきっかけに読み始めた。『銀のみち一条』以来の玉岡さんです。時代も同じく明治。物語の舞台も私の地元・兵庫県ということで、興味深く読んでいます。明治から大正にかけての日本は何もかもが変わろうとしていたのだなぁ。熱い時代です。そして商売の成功物語は読む者の心を高揚させる。ワクワクした気持ちが頁をめくる手を急がせる。現在の経済大国日本の黎明期に一心不乱に商売に打ち込んだ人々に拍手をおくりたい。2013/09/16
チヒロール
46
神戸の鈴木商店、「お家さん」と呼ばれた女性の物語。鈴木よねさん。実話だが、全く知らなかった。よねの夫、岩治郎が亡き後、店をたたむことをせず、代表となり続けていく決意をしたよね。女性ならではの気働き、オクをきちんと束ね、交渉は大番頭の直吉らに任せる懐の広さ。息子達に注ぐ愛情。すごい女性です。金子直吉も頭のキレが良く、サムライ根性をもった素晴らしい企業家で、この人なくては鈴木商店は繁栄しなかったでしょう。読んでて背筋が伸びました。田川さんと珠喜の恋の行方はどうなるんだろう。下を読むのが楽しみ。2014/06/22
キムチ
44
個人的に国内もの、ドラマ・・特に大河で見るのが嫌・・変なイメージが被さるだけに安っぽくなると。作品の舞台は父の本籍があったとこ、逢ったこともない祖父母・・特に気丈聡明だったという曾祖母のイメージを重ねて読んだ・・神戸の風景で。大正景気 日清日露という時代背景、家族経営の鈴木商店。この時代アルアル経営の形とは言え、従業員を見つつ、時代へ繋ぐことへ骨身を削る日々が面白い~下巻へ。2015/06/20
さぁとなつ
40
読み終えた時、ほぅ〜っと声が出ました わたしは鈴木商店のことを知りませんでした しかし昔の就活の時、友人たちが羨望し入社を切望していた有名な会社の多くにこの商店が関わっていたことを知り、本当に驚きました 明治の時代、商家はミセとオクに別れ、女性はオクを守るとされていた中で、オクを仕切りながらもミセにも気を配り采配もしたよねさんはすごいと思いました 直どんがいたからできたとも言えますが、直どんが仕事に突き進むようになったのはやはりよねさんの気甲斐性のためだと感じました 珠喜さんが気にかかります 下巻へGO2025/03/26
kawa
39
明治から大正、神戸の地において隆盛を極めた商社・鈴木商店の盛衰を創業者婦人で「お家さん」との尊称で呼ばれたよねさんの眼を通じて描く歴史経済小説。これまで鈴木商店の大番頭の金子直吉を描く城山三郎氏「鼠」を読了済みなのだが、本書は女性の眼から見た企業成長の様子や家族、従業員との関わりが面白く読める。樟脳や砂糖の当時の商売を巡るあれこれや、台湾進出との関わりも興味深い。楽しみな下巻へ。2025/12/06
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