内容説明
『源氏物語』から・・・不倫と性愛の千年史。
光源氏の子供を出産し、出家をした、父=前帝の妻、藤壺。そのことで罪の意識にさいなまれながらも、新たな女性たちとの関係をさらに広げる、主人公、光源氏。自らの罪の重さに、都を離れ須磨へと旅立つが、そこでもまた、新たな女性との関係を持っていく。後編にあたる本書では、光源氏が須磨から再び都に戻った後、亡くなるまでの壮年期、熟年期の恋愛、性愛を、丹念な心理描写、情景描写で描いていく。
最大の盛り上がりは、原書の第三十五帖「柏木」にあたるところ。光源氏と妻、女三の宮との間に生まれた子が、実は自らの子ではなく、不義の子であることを光源氏が知る場面。かつて自らが犯した罪と同じような状況で、自らに降りかかる因果。そのときの光源氏の心の内を、恋愛小説の名手、林真理子はどのように描いていくのか。
不倫あり、同性愛あり、ロリコンあり、熟女愛あり・・・現代にも通ずる、あらゆる性愛の類型が登場する、世界にも希なる恋愛大河小説。その結末や如何に!
誰もが学校の授業で習った、あの『源氏物語』が、実はここまで過激で、こんなに面白かったなんて!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mike
72
式部はこの長く壮大な物語の中に「女というのはそれだけで難儀なものなのだ」という平安女性の哀しみを描いている。そして源氏に当時の数々の男を投影させて最後に「そらごらん。もうこの世はお前の思う通りにはならないのだよ」と溜飲を下げたかったのかなと思った。源氏の女が多すぎて頭がカオスだったけど、最後まで愉しめた。それはひとえに真理子様の上手さに尽きる。オモロないとこは適当にカットして、私のような者でも食いつくようにこの愛憎劇を彼女流に書き上げている。さすがです👏2024/01/31
kaoru
41
やっぱり源氏物語は面白い。女性たちの心理描写が秀逸で、林流の解釈に感心したり反発したり。また、昔は苦手だった、愛憎渦巻く後半が特に面白かったです。ただ、初見の人に林版がおすすめかというと迷うところ。2017/06/25
Tui
40
源氏物語に初挑戦。あの方(光源氏)が女性に片っ端から惚れて契って振って振られて、を半径数キロ圏内(イメージです)でいたしている、その遍歴を描写しているだけのようで、言いづらいけど、正直退屈だった。翻弄される女性の誰に己をあてはめるかという読み方もできるのだろう(男の私にはムリ)。または、誰かと結ばれても他に惚れる姿が男の本質を暴いているという読み方も。でも、うーん、きつかった。男という私の属性ゆえか、訳者との相性か、単に嗜好の問題なのか。なんとなく悔しいので、その判断は角田光代の現代語訳まで保留にします。2017/02/20
くろにゃんこ
33
高い位についてからの源氏。中年となり、人を意のままに動かすことを楽しむ。心に沿いながらも手をつけようとする狡猾さ。そして深く傷つけられてゆく紫の上。この時代の女の人生の自由のなさ、男の身勝手さに心が痛む。六条御息所の目線で書かれたから分かるあれこれが凄い。ただ、この本を読むと源氏が魅力的には全く思えなく、最低男となる。2024/03/03
シフォン
26
六条御息所を語り部とした源氏物語、面白かった。女目線で書いているせいか、ほんと男という生き物は、権力と女というところが強調されているような気がした。最後は、最愛の紫の上を失い、50歳を超えたというのに変わらないのはすごいと思った。2016/12/15
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