内容説明
お家騒動の多くは、継嗣問題が中心というより、党派の抗争、主人と家老の抗争、新進の権力者と門閥重臣の抗争などの方が多かった。越後、仙石、生駒、檜山、宇都宮、阿波。各大名内の諍いを、史実と知見を結集して鮮やかに再現する。著者独自の解釈も随所に展開し、武士の本質を浮き彫りにした史伝文学の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ASnowyHeron
25
現在の世界でも変わらない人間の欲望、エゴ。権力争いに汲々としていたり、経済がひっ迫していたり、戦はなくなっても落ち着かない世の中だったのか。いったいこの時代に幸せだったのは誰だろう。2016/06/23
ブラックジャケット
8
元々江戸期の藩主の位置は微妙だ。王権神授説のような神様の裏付けがない。あくまで徳川家の理屈。お家継続が最大のテーマで、極めて観念的なもの。早い話、誰がなってもかまわない。ポジションの異なる藩主や重臣とモメるのは当たり前ともいえる。まして外部から婿として入った殿様は針のむしろ。名君であっても家臣からつぶされる悲劇もある。個人的には嫁の母が弘前出身で、南部藩と津軽藩の因縁を描いたパートが長年の疑問を氷解させる内容で得心がいった。歴史小説とせずに、史伝として世に問うた著者の背筋が伸びた筆致が説得力となった。 2020/03/05
広瀬研究会
4
そもそもお家騒動って、そんなに気持ちのいいものではないから、海音寺先生もうんざりしてきたんじゃないだろうか。「阿呆は苦労が身につかないせいか、長生きするものらしい」とか「当主道之助は閉門を仰せつけられた。お家騒動のばからしさである」とか、下巻はひどい言いようが目立った。一方で、従来は悪玉とされてきた人物でも、その努力がまちがっていないと判断できれば、「重喜は失敗した上杉鷹山である」「不運な人であり気の毒なひとである」と同情を惜しまないところは、さすがの見識ですね。2017/01/15
Shigenari Arakawa
1
読了物件の下巻。史料を比べつつ、わからないことはわからないと書き、海音寺の感想も折り込みながら、結果として人間の本性を映し出すような出来映えは独特な作品。司馬遼太郎のように、映画やドラマになるような『脚本性』や『ト書き性』を感じさせない語り口は、流石に昭和の歴史作家の巨星・レジェンドと感心します。もう少し、深く読んでいきたい作家ですね。でも、来年の西郷どんに合わせて読むのは、この先達に失礼(?)かもなと思うので、ほかの作品群をと思います。2017/12/22
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