内容説明
小学生高学年から高校生まで、
そして「いま」を精一杯楽しんでいた、
かつて少年だった大人に捧げたい一作
──僕らにとって「立入禁止」の立て看板は、
「どうぞお入り下さい」と同じことを意味していた(本文より)
澄みわたった青空の夏休み初日、北国のある街はずれに廃墟の未来都市のような鉄屑の山を見つけた三人の少年たち。その奇怪で謎めいた空間にすっかり魅了された少年たちは、そこに秘密基地を作り始めるが……。
日本のブルース/ルーツミュージックシーンを席巻する音楽家町田謙介がみずみずしい感性で綴る、70年代初頭を舞台にしたファンタジーYA小説。
イラストも著者の町田謙介が描き下ろす。
小説の向こうで、町田謙介のブルースが聴こえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
15
ミュージシャンでデザイナーでもあるマチケンさんが、10年前に著した小説が世に出た。僕と同世代ならではの、少年3人のの身近な冒険物語で、「秘密基地」という言葉に身に覚えのある人、廃墟好きの人にはたまらない作品だ。舞台は1970年代初頭の札幌近郊と思われる街、登場人物は小学生で、全編を通じて甘酸っぱい懐かしい時間が支配する。映画「スタンド・バイ・ミー」のような、でももっと猥雑で子どもらしさが溢れた感覚は、今の少年たちより我々の世代に訴える面が強い。味わいある線のイラストが随所に配置されているのも楽しめる。2018/03/22