内容説明
囚人493ことモンモランシー。警察から逃げる際に屋根から落ち、瀕死の重傷を負った男。運良く最新医療を駆使した外科医ファーセットの治療の被験者となり、一命をとりとめた。怪我も治り刑期を終え、娑婆に出たモンモランシーは、高級ホテルに滞在しながら、ロンドンの地下に張り巡らされた下水道を使い、服役中に得た様々な知識を駆使して、次々とお宝を頂戴していく。警察の捜査をかわし、昼間は紳士、夜は泥棒、ふたつの顔を自在に使い分けていたが、ある日暴れ馬を取り押さえたことから、彼の運命は大きく変わることに。痛快シリーズ第1弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
44
同房の囚人に変装術を学び、モンモランシーは昼は紳士、夜は泥棒の二重生活を送る。これだけでは「盗む→盗んだ物をさばいて生活する」という単純なストーリーの繰り返しになってしまうので、ある人物が投入される。刑務所にいる間にモンモランシーは体を鍛えていたため、暴れ馬を取り押さえる事が出来た。そこで知り合ったのが侯爵の息子ジョージ・フォックス・セルヴィンだ。彼は政府の秘密任務を請け負っており、察しのいい彼はモンモランシーの出自を見抜いて彼を自分の仕事に誘う。ウッドハウスのようなおバカキャラではない彼の活躍も期待。2016/09/16
ち~
37
19世紀イギリス。逃亡中の失敗で、全身に瀕死の重傷を負ったモンモランシー。外科医の実験台となる事で奇跡的に回復し無事、刑期を務めた後、出所となった。「お金持ちになる!」の野望を胸に、獄中で練り上げた計画を実行に移す。紳士と泥棒の二重生活が始まった。無数に走る下水道を駆使して鮮やかに宝石店を襲う様や、全くの別世界だった紳士としての嗜みを習得していく様子がとても面白い。様々なピンチも訪れるが、恵まれた運や知恵を絞って躱していく。ヨーロッパを巻き込む陰謀に関わるなど意外な展開を見せたラスト、続きが気になる!2021/10/21
アカツ04号
33
かつて私が学生時代、英国に被れまくっていた頃に出会った「MONTMORENCY」が遂に訳された! と喜び勇んで購入したくせに積んでた本。囚役中に得た知恵で「紳士モンモランシー」とその従者である「泥棒スカーパー」との顔を使い分けながら、豪奢な生活をしたり、モンモランシーの時にできた友人から国の諜報活動に誘われたりと、実は全体的に序盤な話ながらすごく忙しい一冊であります。訳者の後書きにあります、悪正義の心とは環境、運等様々な因子に作用されるというのが根底にあり自ら決められないというのが魅力的。【2019-6】2019/03/02
椛
26
読友さんのおかげで巡り合った一冊。 最初はマイペースにのんびりと読み始めたものの、だんだんと読むスピードが上がってしまい、一気読み。 モンモランシーの運命が変わっていくところも小気味好い。 まさに痛快シリーズ。 訳者あとがきで紹介されている次巻のあらすじなんて読んだだけでわくわくする。 なのになぜ2巻までしか翻訳されていないのか! 完結してるなら最後まで貫き通してくれてもいいのにな〜。 2022/04/17
鐵太郎
21
重傷を負った泥棒が、自分の名声を高めたいと考えた医師によって治療され、牢獄で辛酸を舐めるうちに一大決心をします。紳士として生きるとともにこれまでにない泥棒として稼ごう、というもの。そのためには誰かと手を組まなくてはならない、と考えたあげく、自分自身が紳士モンモランシーと、よごれ仕事を行う泥棒スカーパーの二人をすればいいと考えた。なんと、これが上手く行ってしまったのでした。これは面白い。続巻も読んでみようか。2017/04/13