内容説明
母の死は境界線だ、それ以前と以降との――少年・テオの運命はニューヨークからラスベガスへ。8ヵ月以上にわたり米ベストセラーリストに入り、各国で異例の売行きを示した話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
235
【原書】例によって、このくらいで2巻の終わりかな、ってところで。長いね!叙述が細かいね!それを楽しめる読者じゃないと、この長丁場は乗り切れまい。さて、TheoがNYCに戻ってきた。バーバー家の人たちは、クリスマスカードも送ってくれてなかったのか?Theoの運命にハラハラしながら、この先に進みます。2017/07/27
ケイ
122
ラスベガスでの父とそのガールフレンドとの生活を2巻の冒頭では心配したが、すれっからしのようなボリスと友達になったことで、NYならば直ぐに保護司が現れるような生活に、それもズブズブと嵌っていく。ラスベガスだからこそ成り立つような生活。これは、一種の大人への洗礼、または突然で暴力的な母の喪失に対する癒しとなったのだろうか。荒んだ感じの漂うこの2巻で、間に挟まれた手紙など、ホービー氏に関わるところだけは、ほっとする泉のようだった。2017/01/10
starbro
120
2巻も快調に飛ばして一気読みです。本巻はラス・ヴェガス青春編、主人公の成長譚といった感じです。父親がロクデナシだと、反面教師で息子は健全に育つのでしょうか?まだ物語の全貌は見えてきません。続いて3巻に突入です!2016/11/02
どんぐり
73
父親とそのガールフレンドと共にマンハッタンからラスベガスへ移り住むことになったテオ。そこで待っていたのは、ロシア人ボリスとの自堕落な生活。まだ15歳だというのに酒とマリファナとコカインにまみれた日々(少し話しが長すぎる)、時に窃盗を働いたりしてあまり感心はできない。それも父親の突然の事故で友人との蜜月も終わり、再びマンハッタンへ舞い戻ることになる。彼の手に持っているのは、ファブリティスの絵「ゴールドフィンチ(ゴシキヒワ)」と、マルチーズンのポッパー。そして骨董屋ホバートとピッパとの再会を果たす。3に続く。2016/10/11
星落秋風五丈原
52
ディケンズ作品のオマージュとすれば、赤毛の少女ピッパは『大いなる遺産』のエステラ、ベガスに連れていったものの特に仕事らしい仕事もせず、テオの財産を当てにして一発当てようと考える父親はさしずめ『オリヴァー・ツイスト』のフェイギンと考えられる。ホービーがこのまま『オリヴァー・ツイスト』の紳士ブラウンロー氏の役まわりを務めるのか。それとも、もっと強力な支援者が現れるのか。ファブリティウスの「ごしきひわ」の謎は次巻に持ち越しだが、盗難が明るみになった今、こちら絡みのアプローチも増えていくはずだ。2018/07/05