内容説明
球は魂――。広島カープの絶対的守護神寺谷和章に残されたエンジェルボールはたったの三球。自分の命と引き換えに悪魔と契約した孤高のスラッガー早野薫。日本シリーズ第七戦、土壇場九回裏、遂に二人の運命が交錯する。<愛するものすべてを幸せに>神に魅入られた男のその願いは叶うのか――。手に汗握る興奮と熱狂、家族と野球を愛した男の想いが心を揺さぶる感動の長編エンターテインメント、遂に完結! 第六回広島本大賞の小説部門大賞を受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
164
ある程度の展開は読めるんだけど、実際、その通りに進んだものの、その上をいく展開が待ち受けてたよ。寺谷和章こそ幸せを運ぶ天使だったかもしれない。伏線の回収も見事だし、ものすごく感情移入してしまい、途中から、涙涙の雨あられ。とにかく泣けた。ここまで感動した野球小説は記憶にない。大リーガーの上原浩治も読んでハマったのがわかる。感動の向こう側の感動をくれた。どんな競技でもスポーツというのは、いいものだ。そして、小説もいいものだ。何かを愛するものはいいものだ。それが幸せに繋がるのだから。2021/11/24
s-kozy
91
これはキセキの物語。2008年日本には二人、奇跡のプロ野球選手がいた。悪魔との契約で命との引き換えに「その投手が一番嫌がる打ち方でその球を打ち砕く」能力を得た「悪魔のバット 早野薫」。死の直前を天使に救われ「思った通りに飛んでいく」エンジェルボールを授かった「神の右腕 寺谷和章」。しかし、エンジェルボールの数は有限。日本プロ野球の最高峰・日本シリーズで二人の軌跡が交わった時に生まれる最高の人間ドラマを見逃すなかれ。大願成就の末に鬼籍に入ってしまうのはどっちだ?そして、偉大な先人の後には新たな輝石が。2016/07/28
chimako
89
あー、終わってしまった。エピローグ代わり「願い」が寺谷のナイスな選択を証明する。ザビに教えられた寺谷の想いを早野はきっと無駄にはしない。大地と大河への父親としての熱い愛情は未来永劫彼らを守り続ける。寺谷はただの勝者ではなかった。奥歯を噛み締めても溢れてくる涙は、それでも気持ちよく頬をつたい読み手さえも幸せにする。スポーツの力は偉大だ。観る人の心を揺さぶり、受け取った感動はその時々で人を勇気づける。折しも現在リオ五輪の真っ最中。未明の体操個人総合は歴史に残る名勝負。勝者と敗者分ける神の采配を見たように思う。2016/08/11
やっち@カープ女子
67
プロ野球って客を楽しませてくれてなんぼでしょ。それなのに現実のカープがあんな終わり方したからこの本は私への救世主。飛騨俊吾さん、ありがとう。ええ夢見させてくれて。TERAYA42のマイユニ作ろうっと‼︎2015/10/24
wata
62
24年ぶり日本一!!自分の命を引き換えにしても他人の幸せを願って投げきった3球。最後にもさんが特別に奇跡を起こしてくれないかと期待したけど…。本物のカープも来シーズンこそはッ!2015/11/22