内容説明
ブッダの死後に編纂された「マハーパリニッバーナ・スッタンタ(涅槃経)」には、ブッダの最後の旅の様子がストーリー仕立てで描かれている。ブッダが自らの死によって示した「人間のあり方」、そして2500年受け継がれる「組織のあり方」を読み解く。特別章「二つの『涅槃経』」を収載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GELC
17
佐々木先生3冊目。今まで何となく、我々になじみがある大乗仏教の方を上座部仏教より上に思っていたけれど、宗教としてはほとんど別物で目指すべき方向性も全く違うので比べられないものだと分かった。逆に、釈迦の本来の教えに近く、科学的な原始仏教の方が、科学が発展した現代釈迦に親和性が高いように見えてくる。しかし、救いを法と自分自身に求めりることは、分かりやすく強い教えだと思う一方、確かに狭くて厳しいな、とも思う。もう一冊、氏の大乗仏教についての解説書も読みながら思索を深めていきたい。2024/01/02
スミノフ
14
知ってるようで知らない仏教の、基礎の基礎を学べる内容でした。 ・「自分の努力で自分を変えよう」 ・「死は人生の総決算なのだから、葬式を飾っても意味ない。1日1日を真剣に生きよう」 など、釈迦の教えはとっても合理的なことに驚きました。 偶像崇拝ではなく、自分の内面を磨こうという教えは、現代を生きる私たちにも、瑞々しく響くものではないでしょうか。2022/08/21
Hatann
10
原始仏教の教えである『涅槃経』について語る。仏教は、ブッダの言葉を拠り所とし、自分自身で努力するしかない宗教である。サンガという修行の専門組織、生計のための在家信者からの援助、社会から尊敬を受けるための生活のあり方という構造に即したシステムを作り出した。ブッダの死後もシステムを維持するために『涅槃経』が記述された。他方、原始仏教の教えだと、出家して修行してもブッダになれず、在家したままでは悟りを開くことができない。大乗『涅槃経』は、たくさんのブッダに支えられ自分もブッダになる世界観(如来常住)を展開した。2023/01/21
朝乃湿原
9
原始仏教を知りたいと思って手に取った解説書。日本の仏教とは異なる内容なので、新鮮であった。また重要な概念である三宝や三十七菩提分法、諸行無常などの解説を理解できて良かったと思う。『涅槃経』が仏滅後の仏教僧団の保持が主題であったこともはじめて知った。少しずつ仏教関連書籍を読み進めていきたい。2023/04/28
あっきー
9
✴3 以前、ブッダ最後の旅(岩波文庫)は読んだのだが今回この本でより理解が深まり良かった、特に最後の章で原始仏教と大乗仏教の違いについて簡潔に説明されているのが分かりやすかった、著者の100分シリーズはすぐ読めそうだし面白そうだ2019/03/11