内容説明
幕府開府で戻った平穏も束の間、兄弟による二頭政治は綻(ほころ)び始めた。嫡子義詮(よしあきら)を溺愛する尊氏に芽生えた、弟と己れの落し種直冬(ただふゆ)への疑心は、足利一門の骨肉食む内乱を生んだ。燻る南朝の火種は燃え立ち、再び策謀渦まく権力興亡の世に。南北朝動乱を風のごとく駆け抜けた武士(もののふ)たちの春秋を描く、著者畢生の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
17
うーーーん。何でしょう?この徒労感。足利にしてみれば北でも南でもどちらでも良かったのかもしれませんが、あまりに雑。そして、尊氏が気持ち悪かったです。サイコパスとしか言いようがない。弟の直義だけが唯一この小説の中でマトモに見えます。2代将軍=義詮は、将軍向いてないんじゃない?と言ってやりたくなるうっかりさんですし。何でしょう、とってもガックリしました。これは顛末をリアルタイムで追っていたその時代の武士も庶民もガックリきただろう。上つ方への愛想が尽きたところで下々が力をつけだしたのかも…。2020/08/12
紅花
10
上巻は今ひとつだったが、直義を放逐しようとし始めた頃から面白くなった。結局、国のこと、民のことを考え、堅忍不抜の精神の持ち主は直義だけなのかしら。でもいつの時代も、私利私欲が政治を動かしているから、こんなものなの?とも思ったり。サブタイトルが尊氏と書いてあったが、尊氏の愚かさばかりが目立ち、あまり人間的にも、政治家としての魅力を感じない。こんな人だったの?尊氏と言うより直義の物語と思って読んだ方が、良かったかもしれない。尊氏は別の本も読もうと思う。2014/06/17
綱成
8
足利尊氏が主役と思いきや、直義の方が魅力的に描かれています。足利幕府創設と荒廃した京の整備など、私心なく務める聖君です。家族の安らぎをただ、一心に願う父親としての姿も感銘を受けます。一方で尊氏は、義詮への想いが一途に描かれすぎ、あまりに過保護。北方太平記での大物ぶりもなく、あまり好感は持てません。全体的に軽い感じがするので、読むのに若干苦労しましたが、師直、直義の最後辺りはこの室町幕府の創設にかかる犠牲として描かれ、儚さを感じました。2015/02/19
サケ太
7
大作。南朝と北朝、足利幕府内の尊氏、直義、師直の争い、北畠親房の策謀、直冬の決起、正行の覚悟。さらに複雑怪奇な流れを分かりやすく知れる。上巻での足利勢の関係性をみると、今巻での展開は、ただひたすら空しい。亡き主君のため最期まで戦う忠臣二人。家族のことを考えてきた直義。己の子のため二枚舌を駆使する、後悔続きの尊氏。メインとなった人物たちの描写は細かいがそれ以外は少し粗め。全体的には面白かった。南北朝を他の視点から描いた作品も読みたくなった。2015/05/27
鵺
5
室町幕府を開いた将軍足利尊氏を描く歴史小説。主人公が尊氏であることから当然肯定的に書いてあると思ったが、彼の戦に異常に強い武将としてではなく義詮に対する「愚夫」としての側面が強調されていた。全体の構図は躁鬱で身内に異常に愛情が強いが故に裏目に出る尊氏、愛のある身内にさえ怯える怯える愚劣な息子義詮、唯一のまともな人間である弟直義という感じだった。2020/07/11
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