内容説明
天下取りの好機。後醍醐帝から討幕綸旨(りんじ)が下り、源氏の棟梁・足利尊氏は弟直義(ただよし)、高師直(こうのもろなお)らと旗揚げして北条氏を討った。しかし“野草の群れ”武士の暮しを守る武家政権を目指した尊氏と、親政を企む帝が対立。「土に根ざし汗にまみれた者たち」の幕府開設へ熾烈(しれつ)な戦いが始まった。好漢尊氏の魅力溢れる歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅花
9
全ては弟直義が取り仕切ったみたいだ。尊氏がただの気の良いおっちゃんになってしまう。そこが作者の狙い目なのかなぁ・・・戦い部分の駆け引きや戦術的な事が少なく、ちょっと盛り上がりに欠けてしまう。新田、楠木の話も途切れ途切れ感があって読みにくい。途中飽きてきたけど、庶民的な尊氏は親近感もあるのと、この時代の流れはつかめそうなので、(下)頑張ります。2014/06/04
NAKY
6
最初は、文体、特に台詞の軽さに戸惑ったが、後半にはそれにも慣れ、徐々に面白くなるところで読了。長い長い太平記をスパッスパッと大胆な省略と場面転換でスピード感をもって話を運んでゆくのがこの作家の特徴か。尊氏直義師直の三人の運命が錯綜するであろう下巻が楽しみ。2015/07/17
サケ太
6
鎌倉時代末期から、南北朝時代を、足利尊氏、その弟直義、家宰の高師直、後醍醐天皇、新田義貞、楠木正成らの視点で描いていく。複雑な情勢を分かりやすく描いており、潔癖で兄思いな直義、ずけずけものいう高師直、欲深い後醍醐天皇たちの人物像は面白い。なかでも、優柔不断、非常におおらか、敵に甘く、弟や家臣に支えられてる足利尊氏は興味深い。足利幕府の、不穏の種はすでに蒔かれており、それが亀裂となり、全てを引き裂くのは下巻になってからか。尊氏がどのように描かれるか楽しみ。2015/05/24
ナオデラ
6
足利尊氏が底なしの盥と評されるほどの大器ではあるが、思い悩むとやる気を無くしてしまうし親族に対してデレデレであったりと大変人間臭い。上巻は後醍醐天皇の野放図さ高師直のずけずけ感が目についてます。北方版では殆ど神格化されていた観もある赤松円心や楠木正成、佐々木道誉などが小物臭を漂わせるのも一興。2014/10/04
綱成
4
太平記絡みで読んでみました。北方太平記を読んだ為か、全体的に軽い感じがしますし、足利尊氏を上司にもったら付いてはいけないだろうなと言うほど、庶民的な感じです。ただ、新田義貞に関しては、概ね他の書籍と同じですが、後醍醐天皇に見放されて以降は、新田の持っていた無骨さと野心が見え、他の作品より好感が持てます。2015/02/14
-
- 電子書籍
- サレ妻の復讐~魔性の刺青~【単行本版】…