内容説明
古代の言語・文化・災厄が復活した地球を舞台に、遙か雲へとつづく廃道“アルファ・ラルファ大通り”を歩く恋人たちを描いた静謐なる表題作、下級民の革命を率いた犬娘ド・ジョーンの哀しくも美しい物語「クラウン・タウンの死婦人」、下級民の猫娘ク・メルの悲恋を描く「帰らぬク・メルのバラッド」ほか、〈人類補完機構〉未来史中、最大のイベントである〈人間の再発見〉期の珠玉の7中短篇全集・第二弾。
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すかちゃんの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
190
西暦1万年より後、未来史の人間の再発見の時代を描く。共感しやすい人物がいて、前巻より入りやすい。『ショイヨル…』臓器取り出し牧場みたいな発想が、この時代に先取りされていた。筒井康隆が書きそうなグロ話。それともラヴクラフトか?必須萌えアイテム”猫耳”の遊び女の純愛『帰らぬク・メルのバラッド』の話も良かった。シリーズで一番好きかも。表題作『アルファ・ラルファ大通り』もどこか幻想的で、読みながら井上直久の画集が頭をよぎった。随分と好き嫌いわかれそうな作品だが。absintheは満足。 2020/02/06
miyu
39
読み始めは少々落ち着かず、時に寝落ちさえしてしまうという失礼なSF初心者っぷりを遺憾なく発揮していた私だが(忙しくて寝不足だったのだと言い訳する)終わりに近づくに連れて眠気は吹っ飛んだ。ラスト3作「アルファ・ラルファ大通り」「帰らぬク・メルのバラッド」「ショイヨルという名の星」の圧倒的な誘いかけに夢中になる。特に「帰らぬ〜」には先に読んだ作品集「スキャナーに生きがいはない」に通じる切ないながらもどうしても棄てきれない感情を覚えた。そして「ショイヨル〜」、なんて怖ろしい話だ。ぞわぞわしたまま終わるなんてさ。2016/12/16
かわうそ
33
第1巻に引き続き非常に面白く読んだのは間違いないのですが、きっちり年代順に並べて立て続けに読むのがよかったのかなあとかちょっとだけ思わないでもない。ベストは「シェイヨルという名の星」。2016/06/28
kokada_jnet
33
「帰らぬク・メルのバラッド」が『三国志演義』を元にしているというのは。ク・メルのキャラクターが、「董卓を殺す女」貂蝉をモデルにしているということなのかな。解説の大野万紀氏は「三国志がこの話の背景にあるということだ」と書かれているけれど。三国志ではなく、(おそらく)三国志演義ですからね。なお、貂蝉は『三国志演義』オリジナルのキャラクターであり、史実の『三国志』には登場しない。2016/06/29
Small World
30
コードウェイナー・スミスの人類補完機構短編シリーズ②を読了です。まだ、③が未発売なのに手を出してしまいました。w 今回は7編でしたが、どれも魅力的な話で、やっぱりこのシリーズは面白いなって思いました。中でも「老いた大地の底で」なんかは、展開も含めて、なんじゃこれ~みたいな感じで、勢いだけでも読んでしまうすごい話でした。ww 短編集③の発売までに間がありそうなので、その間に長編の方を読んでおこうと思います。2017/07/12