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内容説明
本書では帝銀事件の「犯人」とされる平沢貞通が、無実なのに虚偽自白に落ちたという無実仮説、また目撃者たちも平沢を見て、「犯人と似ている」とか、「犯人だと断定する」という目撃過誤を犯したという無実仮説を提起する。もし自白と目撃について、この仮説が心理学的に成り立つとすれば、そのこと自体が検察側の有罪仮説への「合理的疑い」となるはずである。本書では、こうした戦略で目撃と自白の供述鑑定を進める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sasha
3
物的証拠がないことだけで、私は帝銀事件を冤罪ではないかと思っていた。本書での目撃証言と平沢貞道の供述の分析を読んで確信を深めた。やはりあれは冤罪だったのだ、と。著者の名前をどこかで見た記憶があったのだが、甲山事件での目撃証言を分析した人だったのね。帝銀事件を平沢貞道の犯行だとするには相当の無理がある。そもそも平沢貞道には明確なアリバイがあったなのに、それさえも無視されている。無実の叫びも空しく獄死してしまったが、死後の名誉回復がなされるよう強く願う。2016/10/01
いたち野郎
1
平沢の自白を巡る分析となっていまして、相当詳細に語られるので概要のみであれば冒頭部分でオッケーです。とはいえ供述書からの読み解き方として、こういう風にやってるんですね、とわかる点でもユニークな一冊ですし、2016年となっても、この戦後の大事件にまつわる謎は、当事者なき今も解決されるべき問題として多くの人が動き続けている、そのエネルギーにも敬うべきものが。2017/04/12
kikizo
1
帝銀事件に係わってきた著者が、改めて事件を一つ一つ解きほぐす。調達出来ない薬品は腕章。追い詰められて、思わず語った自白。今では、明らかな冤罪を認めようとしない司法。混乱していた時代のことなので、冤罪を認めても決して恥ではないと思う。亡くなって30年たっても再審請求をされている遺族の方々も無念だと思う。彼は無罪だ!2017/03/27