新潮文庫<br> 精神分析入門(上)

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新潮文庫
精神分析入門(上)

  • ISBN:9784102038055

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内容説明

精神病の命名と分類に終始していた伝統的精神医学に対し、自由連想の採用という画期的方法によって症状の隠された意味を探る精神分析を創始して、二十世紀文学にも多大な影響を与えたフロイト。本書は、1915年から17年までウィーン大学で一般向けに行われた講義の記録であり、明快な論旨の進め方、啓蒙を目的とした対話的手法で書かれた最適の入門書である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

115
1915年から17年までウィーン大学で行われた講義の記録。一般向けということあって表現は比較的平易で、論旨の進め方も明快でテンポが良い。上巻は錯誤行為や夢を切り口に、意識が行き届かない事象に着眼しながら人間の本質を洞察してゆく。随所に愚痴も入っているので、人間としての著者にも迫ることができる。金にもならないし、患者は嘘をつく、手法も従来の理論とかけ離れているのでバッシングもされる、即座に反論を先回りする語りからもその苦労が窺える。必然的に慎重かつ堅固なものになった理論構築はそんな彼の気概と探究心の賜物だ。2018/02/02

syaori

68
講義録。最初に、早く終わらせたい会議で開会ではなく閉会を宣言してしまうという言い間違いなどの錯誤行為で、自身の意図を当事者が認識していないことがあることから「人間には当人が知らない」意向、無意識的な領域があることが明らかにされます。続く夢や神経症の症例で、無意識は性的で放縦で粗暴で利己主義的な願望を含む領域で、これが意識的な領域へ浮び上ろうとする動きとそれを押し止めて抑圧しようとするものとの葛藤が夢や神経症の症状の形成に関わっていることなどが判明します。作者の開陳する人の心的領域の玄奥さに惹かれて下巻へ。2023/06/06

マウリツィウス

23
「精神分析入門」と称せる古代神話復元序説は古代ユダヤ教律法よりキリスト教倫理の呪縛を逆に解き放った。そのため深層心理学観点において勿論ユングとは袂を別つ必然にある作家であり研究者視点ではなく重要なのは古代/現代のベクトルを逆転させた最上位批判論集と解釈することで妥当性は保証、元型論とはオカルト起源の寓意説話であると解析した彼はユングへの反証命題を明示、隠された狡知をこの学会より追放してプロセスを踏む。誤読と誤解、つまり心理描写を文学から培う糧とすることで新約軸の西洋文明を脱却、離反と謀反は中枢に維持した。2013/05/23

たかしくん。

21
ある時期にテレビの心理学バラエティでもてはやされた、かのフロイト様です!とは言え、思った以上に骨のある内容です。講義はまず「錯誤行為(言い違い、聞き違い、物忘れ等)」を割と淡々と進めた後、上巻のメインであろう「夢」に入ります。そこは、性的欲望を意味するリビドーがこれでもかと登場します。エディプスコンプレックスも、乳児から成長する中では当然の事であり、大人の社会がそれを悪として抑圧した結果であること。20章での子供の性生活の過程を、改めて淡々と語られると、もはや興味本位を超えて、ある意味凄味を感じました!2019/04/14

らい

15
全てを性的なことに還元して、攻撃的な人って勝手にイメージしてたけど、若々しい情熱に溢れた知的な人だった。無意識を発端にした症状を主張し続けるのがどれだけ大変だったのかが、反論を嫌というほどしっかり想定しているところから、感じたりする。割り切った考え方をする当時の西洋の学問では、心について何も理解することは出来ないと批判し、一歩踏み込み、そこに広がる膨大な心の領域から、錯誤行為や夢の重要性に着目し、手探りにも掴んだ理論が語られる。その一歩は未来の確かな基礎となる一歩だったんだなとしみじみ。2021/04/05

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