内容説明
本書は、人間の心理には無意識の抑圧と抵抗という複雑なメカニズムが存在し、ノイローゼの原因にはリビドーが深く関係していると唱えて、精神現象の解明に偉大な貢献をしたフロイト理論を理解するための絶好の手引きである。講義録である「錯誤行為」「夢」「神経症総論」の三部に続いて、修正補足を目的に書かれた「精神分析入門(続)」を併せて収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
111
下巻は『神経症総論』の続きに加えて修正補足を目的に書かれた『精神分析入門(続)』を併録。専門性と共にアプローチの独自性も飛躍するのでより難解に。無意識の抑圧と抵抗が形成する複雑なコンプレックスをノイローゼの原因とする著者。意識は心的構造における氷山の一角でしかない。自我・超自我・エスといった領域的区分、無意識・前意識・意識という作用的区分、更には幼児性欲論など説明の手法も内容も大いにスパイシーだ。臨床医としての人道主義な表情を見せる一方で、キリスト教やマルクス主義を痛烈に批判したりと当時の時代性も窺える。2018/02/04
たかしくん
19
とりあえず、前半28章までにて読了とします(「続」は、いつか又!)。上巻からの、リビドー論は更に深堀られ、まずは、幼児期の倒錯したリビドーから始まります。その「前性器」体制の特徴は、サディズムと肛門愛への部分欲望。その時期のサディズムが高じたものが、カラマーゾフの父親殺しとフロイトは言いたいのでしょうね。そして、随所に取り上げられる近親姦。LGBTを積極的に寛容する現代社会で、これを差別することが偏見だと言われかねない時代が来るかも…。なんて、うすら寒い「白日夢」が頭をよぎりまして。。2019/06/08
ヨッフム
18
上巻に続いて、神経症総論、とりわけ不安についての講義が大変面白く、対象のあるものを恐怖、そして対象の喪失したものを不安と呼び、その根元には、出産体験における心的外傷が絡んでいるのではないか、という発想が飛び抜けて面白かった。科学万能主義の時代に影響はうけつつも、決して実証に拘らない姿勢が見受けられるのが、フロイトが思想家と呼ばれている由縁なのかな。それにしても、超自我とエスの板挟みになって、精神の全責任を取らされる、自我の孤独さよ。生き延びるために心を病む、という涙ぐましい努力を思うと、ぐっときます。2015/02/04
かみしの
11
下巻は上巻に比べて難解で、特に神経症という本分でもあるため、なかなか読み進めるのが辛かった。ぼくは別に神経科医や心理学の研究によって糊口をしのぐつもりはまったくないので、やはり「夢」の象徴性のあたりを面白く読んだ。2018/03/20
はまななゆみ
10
人間の精神は種族保存のための性欲動と自己保存のための自我欲動が無意識領域も含めて複雑に絡み合っているということかな。なんとなく分かったような分からないような。。いずれにしても、人間の本質についての深い思索は興味深いです。2015/02/25