内容説明
都会への憧れ、くどい人間関係、楽しみは街道沿いのチェーン店……。
コラム誌としても人気の高い「TV Bros.」の人気投稿企画「イナカ川柳」が一冊に!
都会からは考えられない田舎のいまを、ときに憎しみを、ときに愛情を、ときに哀切を持って描き出す川柳コーナー。
約10年にわたる連載から、傑作・怪作・珍作を精選、約400句を一挙収録!
・プチ家出 街まで100キロ プチじゃない
・ごじゃっぺを 言ってんじゃねえよ デレスケが
・今日だけで ジャンボ尾崎を 5人見た
・西友と ジャスコとサティと 西友と
・寒いとか そんなレベルの 話じゃねえ
・気がつけば 隣の嫁は 外国人
・用水路 プカプカ浮かぶ クロックス
・猪は 速い固い 止まらない
・スナックで ママと社長が メルトダウン
東京周辺に住む人たちは人口の1/4にすぎません。この本には3/4の日本人のあるあるネタが揃っています!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
189
「サンマシャケ、ホッケサンマのローテーション」田舎のあるある川柳集。「東京に続いている気がしない空」どこまでも続くはずの空なのに、見上げた空とあの日の空はなぜか違っている。大きさも高さも青さも煌めきも、同じはずなのに。「ダイエーがサティになって今イオン」閉店して不安になり開店に安堵する。お店がそこにあるだけで幸せなのかもしれない。「ダーツがね当たるのずっと待っている」第1村人になれたらいいね。「飼い主がペットのほうに似てきてる」同じ物を食べていると似てくるって聞くけど、一緒にいられるだけでそうなるのかも。2024/01/12
いつでも母さん
133
グローカル化か・・『はじめに』を読んで、うんうんと肯きながらもまだやっぱり違和感も。まだまだ田舎の発信力が増す時代は遠いよ。本当の田舎には若者は少ないし、インターネットより、年寄りネットが幅を利かせている(汗)都会に近い田舎と遠い田舎の温度差も感じる。この川柳の数々は、本当に悲喜こもごもだ。明るく笑えるのも確かにあるが、明るさが妙に哀しかったりもするのだ。『東京に 続いている気が しない空』がお気に入り。まだまだ続編を期待したい。2017/07/05
mike
76
何だか哀愁を感じて単純には笑い飛ばせないのもあり、泣き笑い。・夜勤明け鹿と目が合うファンタジー・牛の乳いやらしく揉むうちの父・ウインカー左に出して右に行く・お返しのお返しのまたお返しが・うちの祖母1文字違い広瀬志ず・午後いっぱい相棒相棒また相棒2023/03/18
けんとまん1007
58
いい味でてますね~。川柳なので、今のこの国の断面を切り取っていて、面白いような、でも、ちょっと哀しいようなところもある。いい悪いではなくて、いまの現実を、面白おかしく、ユーモアのセンスで描くからいいのだろう。どこかに、少しだけ、こころの余裕がないと、作れないと思う。これは、イナカ川柳でああるが、イナカ以外のものもあればと思う。それはそれで、切ないような気もするが。2017/06/24
tomi
42
「TV Bros.」の投稿欄の単行本化。「地区行事一枚噛んだら逃げられない」「青年が一人もいない青年団」― 田舎暮らしのあるあるネタ満載ですが、近くにイオンもないド田舎暮らしの身としては、笑えるというより侘しい気持ちになる句が多いな… 「商店街 シャッター、シャッター 店、シャッター」「傷痕が残っただけの町おこし」―2016/06/19