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内容説明
医師不足や医療不信が同時多発的に拡大し、社会問題化した「医療崩壊」は、その後どのような道を辿ったのか。本書では、繰り返される医療事故をはじめ、「医療崩壊」後の日本医療が今なお抱える問題を、独自の職業観や医局運営術も交えながら検討し、米国での無給研究員時代より続く著者自身の実践から捉え直す。新医療事故調査制度や新専門医制度などの相次ぐ制度改革や、アメリカ型医療の流入といった目まぐるしい変化について、日米両国の現場で外科医療に携わった体験を交えて考察した一冊。【目次】はじめに/第一章 米国医療の光と影/第二章 日本の医療はなぜ崩壊したのか/第三章 外科医療はトキメキの宝庫/第四章 意識改革で外科医局再生――トキメキと安らぎのある村社会/第五章 日本医療の未来像/参考資料 「読売新聞」連載コラム
目次
はじめに
第一章 米国医療の光と影
第二章 日本の医療はなぜ崩壊したのか
第三章 外科医療はトキメキの宝庫
第四章 意識改革で外科医局再生――トキメキと安らぎのある村社会
第五章 日本医療の未来像
参考資料 「読売新聞」連載コラム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
42
現場での著者の実感、エッセイに近い形なので、日本の医療実態のアカデミックな比較を求めて読む方には注意が必要である。個人的には日本の医療保険制度に関する本をもっと読んで知識を補強したい。2016/04/29
yahiro
6
あまり期待せずに読み出したのですが、良書でした。アメリカの病院に勤務した経験から、日本とアメリカの病院の実態、医療制度について切り込んだ意見が述べられています。両国はそれぞれで特殊な制度を採用しており、一長一短ありますが、それは社会的なバランスの上で成り立っていることであって、部分的にそれを採用しても全体は成立しません。しかし、訴訟社会であるアメリカが作り出した「性悪説に基づいた医療制度」も、合理的な面があり、興味深いです。一つ言えることは、人の命はお金では買えない、ということでしょうか。2018/07/08
coldsurgeon
6
医療の究極の目的は何かと問われたときに、医療者は、明確に答えることができるよう心の準備をしているべきである。医療再生のカギは、インセンティブではなく意識改革であると著者は説く。いい仲間との仕事は楽しいという意識が生まれるだけで、自分が変わり、人が集まり、地域医療現場そのもおが変わっていくのだろう。「衣食足りるまで夢を語るな」2016/07/27
jj
4
2016年刊。慈恵医大外科教授。米国アインシュタイン医科大学教授時代を含め、心臓血管外科手術に果たした功績を中心にその半生を語る。帰国後の医局のごたごた、製品開発の数々のエピソードは興味深い。それにしても米国医科大教授のサラリーが一億超といのは驚きだった。2019/10/13
タツヤ
4
血管外科の第一人者である大木隆生先生が、今日の医療問題とその処方箋について論じた本。日本とアメリカの両方の医療現場に立ったからこその見方や考え方が詰まっていてとても勉強になった。またこの本は自伝にもなっていて、医師として働いていく上での信念など、真似したいと思うところも多くあり、これから自分が医師として働いていく上での1つのモデルにもなった。2019/03/09