内容説明
池田屋事件で名をあげ、声望を高めた新選組。だが皮肉にも、それは過剰なまでの使命感を生みだし、血で血を洗う粛正の嵐を引き起こしてしまう。その間に政情は一変。朝敵の汚名を着せられ、追われる身となった彼らには、苛酷な運命が待ち構えていた――。動乱の時代に生きた男の姿を鮮やかに描いた時代巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
108
近藤勇白書 下巻。新撰組の絶頂期から近藤勇斬首まで。同士から組織の長となり随分変容しましたが、義理堅い心根のやさしい、百姓身分から幕臣になった最後の武士だったのかな。2018/02/10
えみ
61
非情に成り切れなかった男。それが彼のインパクトに欠けるところであり、魅力でもある。土方歳三のように怜悧冷徹冷酷非情な刀のような男でも、沖田総司のように天才薄命儚い桜のような男でもない。しかし猛者たちが集う新選組という集団の頭としては、それが一番重要な素質なのだろう。池波正太郎版、近藤勇を読んでそれを確信した。時代に取り立ててもらい、時代に殺された新選組の中で、もしかしたら彼こそ時代に染まらなかった男だったのかもしれない。目まぐるしく変わる情勢の中で、自分の心を律しながら役を全うした近藤勇の生涯を称えたい。2022/06/29
タカシ
10
下巻は池田屋事件後から幕府が崩壊し近藤が、斬首されるまで。地位とお金と女で近藤が変わっていく様が哀れというか尊敬出来ない。土方は冷酷な策士でこちらも好きになれない。新撰組は難しいですね。近藤勇の半生としては面白かったです。2017/12/27
路地裏のオヤジ
7
近藤勇は時代に翻弄されながら侍の矜持を保ちながら潔く降伏し、処刑に臨む立派な姿だった。新撰組や会津藩などは幕府の代わりに義に死んだのではないだろうか?2018/01/23
生活相談屋
7
近藤勇。新撰組は幕末動乱期の徒花である。滅び行く徳川幕府の尖兵として、最後の光芒を放つ新撰組の物語はまさに池波正太郎の最も好む題材だろう。ここに描かれる近藤勇は英雄でも悪党でもない。人生に惑い、オロオロと揺れ動く一人の普通の男である。決して実を結ぶことの無い近藤勇の人生は、戦いながら少しずつ何かを諦める道程だったのかもしれないな。あれだけの人の命を奪った男に同情心は沸いてこないが、打ち首になったことで一個の悲しい物語として胸に納めることができた。2016/12/10
-
- 電子書籍
- 国難の商人 白石正一郎の明治維新
-
- 電子書籍
- ラブファイト 聖母少女(下) 講談社文庫