内容説明
天保十四年。鹿島神宮を目指す長身痩躯の男が一人。その名は、鷹。一匹狼の凄腕の仕事人だ。今回の仕事は、境内で盛大に開かれる花会のテラ銭二千両を奪うこと。集められた面々は、鷹を入れ五人。だが、顔合わせの前に、一人が殺されてしまう! さらに、残された者たちにも魔の手が……。この仕事には裏がある!? 実力派覆面作家が放つ、本格時代活劇の快作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
7
コンパクトでサクッと読めて仕掛けや趣向が凝らしてありオリジナリティーがあるという理想的な文庫書下ろし時代小説。ウェットな作品が多い中、このクールでドライな味わいは貴重。時代劇版悪党パーカーとして巻数を重ね成長してほしいシリーズ。著者はベテラン作家の別名義だそうで確かに達者な筆致。できれば本来のペンネームで書かれた作品も読んでみたいところである。2011/07/22
グリンタ
4
時代劇に犯罪もの+ミステリーと来りゃあ面白いに違いないと。シリーズ初刊ということで、謎解きに中弛みを感じた。主人公キャラが無敵っぷりぽいのでアクションシーンを序盤にもう少し派手に入れてくれると集中力が続いたような気がする。取って付けたようなラブは中途半端かな。でもでも続刊も読みたくなるエンディングでありました。2016/01/13
だいしょう@SR推進委員会
3
時代小説には珍しいクライム・ノベル。現代風に言えば、知事黙認のカジノで、ギャングの親玉たちが遊んだ金を難航不落の金庫からいただくという設定。しかし、そこには不測の事態が次々と起こって…。まさに洋画を観ているような展開がスリリング。主人公であるタカはすご腕なのだが、後半その実力の程が知れていくのも痛快だった。やはり、そこはベテラン作家のうまさか。新鮮な味付けが面白かった。2011/10/12
Schunag
3
これはdamn cool。藤沢周平版《現金に体を張れ》/『逃走と死と』たる名作ノワール『闇の歯車』よりもパルプ寄りで、「悪党パーカー」でいうと『標的はイーグル』とか『裏切りのコイン』とか、あのへんの趣。ぼくはこのクライマックスのケレン味、好きです。次作も早く読まなきゃ。2011/04/22
辺野錠
2
大物侠客達の集会から2000両を盗み出す不可能ミッションものから始まり仲間が次々殺されていくサスペンス要素、その謎を追うミステリー要素が絡んでくるのが面白かった。登場人物それぞれに役割と個性があったのも良かったポイント。2020/03/28