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内容説明
名門の天才坊やとして早くから注目された中村勘三郎。
渋い脇役の家に重い期待を背負って生まれた坂東三津五郎。
二人の名役者はくしくも同学年に生まれた。
生前、親交の深かった劇作家が、ライバルでもあったふたりを交互に書き継ぎ、藝風の違いやユニークな生き方を浮かび上がらせた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
49
人間同士でしか伝承しえない技。とても日本人らしい世界だと思う。このお二人が共演なさった踊りは素晴らしかった。いまだにもう拝見できないことに深い悲しみを覚える。2016/05/23
№9
35
元ロック少年で長じてサッカー親父を経て今は歌舞伎にハマっている自分は、観劇歴まだここ2年ほどの歌舞伎ビギナーだ。だから二人のことはリアルタイムでは知らないけど、DVDやシネマ歌舞伎でたまに拝見する二人の凄さはすぐにわかった。三津五郎さんを初めて観たときは衝撃的だったし、勘三郎さんのその芸はただただ愛おしさを感じさせるものだった。〝肉体の芸術ってつらいね。その全てが消えちゃうんだもの〟とは勘三郎さんの言葉らしい。二人をもう生で観ることは出来ないけれど、映画でもDVDでもいい、これからも二人を見続けていくさ。2017/05/24
ぷれば
30
天才と名人。中村勘三郎と坂東三津五郎。対極にあるかのごとき藝風、辿ってきた道、しかも同学年であり、切磋琢磨の藝道に生きた名役者。生前親交の深かった劇評家が、宿命の星の下に生まれた二人の歌舞伎役者を描き出したモノ。一時期、歌舞伎に魅了され通いつめた。当時のご贔屓は他の役者だったが、舞台ではいつもその一点に釘付けだった。訃報を知った時、涙がとまらず、本書も同様だった。彼等が託した歌舞伎の未来をいつか必ず観に行きたいと思う。 2016/05/28
kawa
29
歌舞伎に関しては勘三郎さんのコクーン歌舞伎・平成中村座を見た程度の経験値で、最初の10ページ位までもうダメ解らないという感じだったのだが、記述の端々に垣間見れる天才と名人の凄みに引きづられ完読。歌舞伎を扱う吉田修一氏の小説「国宝」の迫力が、さもありなんと納得できるような秀逸なノンフィクション。また興味を持って追っかけるテーマを得て嬉しい。改めてお二人の冥福をお祈りします。2019/05/09
若黎
11
冒頭から勘三郎さん、三津五郎さんの舞台姿が脳裏にパパ〜っと浮かんできて、ボロボロ泣きながら読みました。 歌舞伎という入り口を開いてくれたのは玉三郎さんですが、楽しい、面白いを感じさせてくれたのは勘三郎さんでした。2024/08/07