集英社文庫<br> 窓の向こうのガーシュウィン

個数:1
紙書籍版価格
¥638
  • 電子書籍
  • Reader

集英社文庫
窓の向こうのガーシュウィン

  • 著者名:宮下奈都【著】
  • 価格 ¥528(本体¥480)
  • 集英社(2016/02発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087453164

ファイル: /

内容説明

周囲にうまく馴染めず、欠落感を抱えたまま十九年間を過ごしてきた私は、ヘルパーとして訪れた横江先生の家で、思い出の品に額をつける〈額装家〉の男性と出会う。他人と交わらずひっそりと生きてきた私だったが、「しあわせな景色を切り取る」という彼の言葉に惹かれて、額装の仕事を手伝うようになり――。不器用で素直な女の子が人の温かさに触れ、心を溶かされてゆく成長ものがたり。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

295
『あなたはあなたのままでいいんだよ』未熟児で生まれ、親から保育器に入れることを拒否された主人公は、だからいつも欠落感を感じていた。他人と交わらず静かに生きてきた。ヘルパーの資格を取り、訪問先で先生と出逢い、額装の仕事をする男たちと出逢う。額は外との境界であり、向こうを切り取る窓。昨日が今日と違うのはあなたが成長してるから!日に何度も鏡を見ないと安心できない人、周りから自分がどう見られてるか気になってしまう人に『いいんだよ、あなたはあなたのままで』と額装が囁いてくるような、優しく気付かせてくれるお話‼️🙇2019/11/04

SJW

232
未熟児で生まれたものの保育器にも入れられず、発育が悪いためか周囲にうまく馴染めない19歳の佐古さんが、ヘルパーとして訪れた元先生の家で、額装(絵や写真の額を付ける仕事)を手伝うことになる。不器用で軽い障害を持つ素直な佐古さんが成長していく物語。フィッツジェラルドの「サマータイム」が全編に渡って流れていて、アニュイな感じとスローテンポが上手く表されているが「サマータイム」がガーシュインの作品とは知らなかった。しかし佐古さんが考える世界はとんちんかんでなかなか頁が進まなかったが、人はみんな同じ尺度を(続く)2019/01/28

さてさて

202
未熟児として生まれ、親の希望で保育器に入れられなかったために発育が遅れた『私』。『人は私の言葉を聞かないし、私も人の話がわからない』と、周囲との関わりを避けてきた『私』。そんな『私』が『今を楽しむために額装するんですね』と、今を味わう、今を生きる、明日ではなくて今という瞬間を感じる物語。過去をどう捉えるかを考えるのは今、そして未来を決めるのは今。溢れるばかりの気づきの言葉の数々と共に、今を楽しみ明日に繋げていこう、今が明日に繋がって行くように、今のしあわせを感じて生きていこう、そう感じた作品でした。 2021/03/23

yoshida

151
未熟児として産まれ、両親のちょっとした無知から保育器に入れられずに育った佐古。生きる歓びから遠ざかるように成長し19歳となる。ヘルパーの職につき「先生」のお宅を訪問し額装の仕事と出会う。先生と額装家の息子、孫であり同級生の隼との交流を経て、佐古は少しずつ自分の想いで生きることに目覚めていく。表現が独特なこと、佐古の天然さや自己評価の低さに好みが分かれる作品だと思う。佐古をもう少し年相応に描いても良いと思う。同級生で先生の孫の隼と共に成長する姿がじんわりと良かった。静かで穏やかでほのかな温かみのある作品。2019/03/10

mariya926

138
私は作家読みが好きですが、大体一番最初に読むのがお勧めしてもらった大人気で高評価な本です。その後からその作家が気に入って全読モードに入りますが、その作家の一番いい瞬間を知ってしまっているためにどうしてもレビューが素っ気なかったり辛めになってしまいます。それは作家さんに対して申し訳なくこの本もそうです。『私は何も持っていない。それでも、先生には「今」しかない。私にあるのも「今」だけだ。そういう意味で、先生と私は対等だ。「今」このときを捕まえて味わいつくさなきゃいけないのは同じなんだ』この言葉が一番響きました2019/12/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9718390
  • ご注意事項