内容説明
原爆投下計画の漏洩を察知した米政府は、ミノルとエリイの日本上陸を阻むべく、追跡チームを送り込む。アンカレッジの攻防、アリューシャン列島での銃撃戦……たび重なる危機を脱し、ふたりは日本への密入国に成功する。だが、そこで待ち受けていたのはさらなる試練と困難だった。原爆投下へ刻々と迫るタイムリミット。窮地に追い込まれたミノルは、最後の賭けに出る――圧倒的スケールと緊迫感で疾走する冒険小説の大傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひよこ
40
最後は「ミノル、エリイ、急げ!」と心の中で叫び続けた!家族を助けるために原爆のことを日本政府に伝え、降伏を勧告する。追手におわれ、様々な障害にぶつかっても、知恵と技術と精神力を振り絞って乗り越え、じわじわと東京へ迫るところにミノルの執念を感じた。また戦争の愚かさ、民族・人種差別などが描かれていて、本筋に隠された筆者からのメッセージも伝わってきた。史実は曲げられないけど、どの様に物語を締めるのか、戦時中を舞台にした冒険小説にはそんな面白さがある。今回も堪能しました(о´∀`о)2018/04/04
まつうら
23
(上巻の続き)さらに、戦争がこの差別問題を深刻なものにしているという事実も描かれている。ガダルカナル戦線で息子を殺されたレストラン店主はその代表だ。ミノルを追うホソカワの独白も興味深い。「戦争は領土を奪い、人を殺すだけではなかったのだ。この子らの心を傷つけ、未来を殺しているのだ」 最後に米内元海相が登場すると、いまの軍令部はミノルの情報をアメリカの謀略だとしか考えないので、戦争終結が遅れてしまうと告げる。これが当時の現実なのだろう。自ら起こした戦争によって、軍令部も心を病んでしまったのかもしれない。2021/11/07
いいちゃん
8
一気読み。誰かに貰ったのかいつのまにか本棚に入ってたんですが、良い本に出会えました。2018/04/16
鞆弥
7
逃亡の冒険ものとして快作!面白かった。主人公の道義的な目的とエリィの個人的な目的の対比もさることながら、追っ手のホソカワの葛藤もしっか描かれている。エンディングは海外冒険作品のようなさくっとしているが、経過を知りたくなるほど…。キャラ設定ができているからこそ!辛口でいえば、時間軸や体力・装備、危機を乗り越える点ではつっこみが入るがそれを上回る面白さだった!2012/03/11
しお
6
第二次大戦終戦直前から原爆投下までを史実にもとづいたと思われる内容で進む物語がなかなかのリアリティー。読み応えたっぷりで面白い・・・が・しかしちょっとたっぷりすぎかな?? ミノルとエリイの大逃避行の描写があまりにも細かすぎて長い感じがした。 メキシコの国境の町サンタフェからシアトル、アラスカ、アリューシャン列島、樺太へ。この辺の内容をギュッと縮めて上下巻を一巻に凝縮してくれたら一気読み間違いナシのオススメの一冊にです。2016/04/18