創元推理文庫<br> 樹霊

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創元推理文庫
樹霊

  • 著者名:鳥飼否宇【著】
  • 価格 ¥693(本体¥630)
  • 東京創元社(2016/01発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488497019

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内容説明

植物写真家の猫田夏海は北海道の撮影旅行の最中、「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という話を聞き、興味を覚えて日高地方最奥部の古冠村へ向かう。役場の青年の案内で夏海が目にしたのは、テーマパークのために乱開発された森だった。その建設に反対していたアイヌ代表の道議会議員が失踪する。折しも村では、街路樹のナナカマドが謎の移動をするという怪事が複数起きていた。三十メートルもの高さの巨樹までもが移動し、ついには青年の墜落死体が発見されたとき、夏海は旧知の〈観察者〉に助けを求めた! 〈観察者〉探偵・鳶山が鮮やかな推理を開陳する、謎とトリック満載の本格ミステリ。/解説=村上貴史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Bugsy Malone

68
自然観察者シリーズ第5弾。今回は北海道日高市の移動する巨木と街路樹に係わる事件。事件に巻き込まれた形の夏美は、遂にあの観察者鳶山に助けを!中盤から漸く現れる鳶さん、偏屈ながらもホッとさせられ、あれよあれよと謎を解いていきます。夏美とスキンヘッドのジンベーとの絡みも絶妙。自然や生物の一部としての人間、その人間の奢りにも言及した今作、やはり大変面白かったです。2019/10/23

備忘録

18
観察者シリーズ アイヌの言葉はどうしても慣れず、そこに読みづらさを感じてしまったが、ミステリとしてとても良くできていた、素直に面白い 樹木の移動から端を発する事件が最終的には開発の推進派、反対派両サイドのトップが両方亡くなるという展開となり複雑極まる様相となった事件を見事論理的に解決し 犯人の意図まで全て読み切った観察者の手際に恐れ入った2025/03/02

おおかみ

7
アイヌ文化の残る古の地でテーマパーク開発と反対運動を背景に起こる怪事件・・・と言えばサスペンスドラマのテンプレートのような展開にも聞こえるが、「巨木が動く」という極めて魅力的な謎が読者を彼の地へと誘う。さらに「奄美野鳥の会」会長でもある作家にしか表現できない自然への畏怖と敬意が、個性的なキャラクターを生み出し、重厚な読後感を残す。と言いつつも、シンプルに本格ミステリとして完成度が高く、矢継ぎ早に起こる奇怪な謎が一貫した論理で解き明かされる様は実に鮮やかだ。2021/11/03

YOS1968

4
超越的な名探偵と、ひたすら俗っぽいワトソン役という古典的な推理小説の構造。著者の本格への愛情と敬意が散見される。「木が動く」という超自然的な要素。「アイヌ」という文化的要素。二つの要素を盛り込んで、自然や文化の破壊という悲劇を背景に書いている。自然を愛する著者だからだろう。人の愚かさを警告しながら、どこか突き放したスタンスで殺人事件が展開する独特の空気感がよい。2010/12/12

1O3O

3
謎の全ては「木が動く」という点。それがホワイダニットであり、ハウダニットであり。アイヌ民族、土地開拓など様々なテーマを入れつつも、スマートに仕上がった作品。「中空」「非在」と同様、このシリーズはそういうとこが良い。「木が動く」という興味深い謎でひっぱる反面、真相の方は(案の定というか)スマートとは謂い難く、結構大味。ホワイダニットは「ここまでするか」とも思わなくもないけれど、なかなか良かった。作者の得意分野で健闘している分、生物薀蓄に関しては妙な説得力がある(真相とはあまり関係ないけど)。2010/08/22

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