内容説明
幼い頃に両親が死んだため、江戸を離れ、飲み屋を営む伯父のもとに引き取られたお妙。17歳になり、伯父の店で看板娘として働いていたお妙は、店にやってきた浪人の大鳥譲也に惹かれるようになる。だが、ある夜、大鳥はすでに死んでいると、大鳥の過去を知る男に聞かされる（「飲み屋の客」）。ほかに「童子物語」「逢魔ヶとき」「介護鬼」「背後の男女」「夜の使者」「妖剣」「坂の上の死体」「追いかける」を収録。誇りという名のしがらみに追い詰められた下級武士の哀しみを描いた珠玉の時代小説怪異譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベック
3
幽剣抄の第二弾である。あいかわらずうまい。なんか、うれしくなってしまうね。一番怖かったのはラスト「追いかける」に登場する幽鬼たちである。ここに登場する三人の幽鬼たちのエピソードが怖い。何回読み返しても怖い。もし自分がこういう場面に遭遇したら、と思うだけで下品な話だが金玉が縮みあがってしまう。もし、読まれる方がおられたら確かめていただきたい。丁度２８９ページから２９０ページにまたぐ場面である。2007/02/26
kazukitti
1
面白かった。秀行先生の時代物好きなんだけど、ソコはファン故って部分は無きにしも非ずなのかなぁ。時代物ではあるんだけど、設定その他時代ものである必要性は実はあんましないんだよね。シナリオのラインはこれ別に異世界（魔界都市とかｗ貴族に支配された未来でもｗ）でも十分可能なワケで。多少は身分や武士という意気地が出てくるけど、コレも特有のものってほどではなく代替可能というか。良くも悪くもソコがあるから取っ付きはいいけど、ジャンルや数字として続かない理由なんじゃないかしら。2017/11/26
権三郎
1
異界からの訪問者が人々の暮らしに波紋を起こす。生きているのか死んでいるのか。誰が異界の存在なのか。救われる者、奈落に落ちる者。良い短編集であると思いました。2017/06/28
ケイト
1
どんなに出来のいいものであっても、ただ短編を続けて読むだけだと途中でダレてしまうから、読者に気を引きしめてもらうためにもあいまに掌編をはさんだのでしょう。その効果はてきめんで、時に恐怖をもよおさせたり、時に哀れをさそったりして、興をそぐことなく読ませてくれました。現代の高齢化社会に通じそうな「介護鬼」、ロマンティックあふれる「飲み屋の客」ほか、すべてが名品です。あー！ やっぱりもう大好き！ このシリーズ！ もっとたくさん刊行されてもらいたかったよー（泣）。2012/09/29
