内容説明
鎌倉時代初期成立と見られる撰者未詳の無名説話集が昭和18年に発見され、斯界の耳目を驚かせた。そして、原本が散佚した「宇治大納言物語」の流れを汲むこの作品は、日本古典文学の貴重な財宝となった。貫之・躬恒・和泉式部・赤染衛門など、王朝歌人たちの逸話を多く集め、宮廷文化の典雅な世界が展開する。上巻は、和歌説話集で、世俗説話46話を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
6
再読。鎌倉時代初期に成立した説話集で、平安時代の典雅な生活が窺える話を全76話収録している。講談社学術文庫お馴染みの一節ごとに<原文><現代語訳><語釈><解説>という構成になっているので初心者でも安心して読める。 ただ大部分が他の説話集等と重複しているのでこれまで数々の本を読破してきた人には物足りないかもしれない。その場合はそれぞれの文章の違いを楽しむが…マニア向きかな。それでも『今昔』が和漢混交文による簡潔明瞭でやや情緒に欠ける所もあるのに対して本作は和文特有の優しさがある。→続く2022/10/27
もちもち
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なんだかんだで三年間もおべんきょしながら、ふんわりとした理解になっているけれども。ひとつひとつの話はとっても短くて読みやすくて、面白くて、好きな本!知ってるお話も多いから、原文でゴリゴリ読んじゃっても全然問題がないわね!なんて言ってるから、理解がふんわり。…古本は孤本…へへ、なんでもないです。2013/02/02
山がち
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今昔物語や俊頼髄脳などと深いかかわりがあるために、非常に見たことのある作品が多い。しかしながら、作品の異同も非常に多い。その異同がどのようにして生まれたかなど、この作品集に関しては興味が尽きない。個人的にもっとも印象に残っているのは芥川龍之介の六の宮の姫君のもとになった作品と類似の作品である。長さにおいても他の作品とは異質であるが、話の展開も非常にシビアであり、読んでいて胸に迫るものがある。全体的にはどこかで聞いた話や、受験勉強の際に読んだ素材文と類似の文章が多くあり、懐かしさもあってとても楽しく読んだ。2012/07/28