内容説明
1793年2月、30万募兵令が全国に向けて発布され、ヴァンデ地方は、ついに武装蜂起した。貴族としての誇りに生きる21歳のアンリは、10万のヴァンデ軍の先頭に立つ。それを迎え討つは、革命を信じ、大量殺戮をも辞さぬ覚悟の公安委員会代理ジュリアン19歳。そして、アンリの敵として対峙せざるをえなくなった西部方面軍最高責任者ニコラ25歳。3人は激突を回避できるか――? 祖国に身を捧げる若き情熱を描く力作長編、完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
89
上巻は「反乱が起こるまで」が書かれていたが、この巻からは戦闘が書かれてある。ヴァンデ地方の反乱を鎮圧するため、革命軍によって住民の虐殺が行われたことは有名ではあるが、これほど残虐であったとは。。2014/01/24
紅香@新刊購入まで積読消化あと4冊⭐︎
37
誰が、どこで間違え、あるいは故意に歪ませたのか。華やかなイメージのフランス。その土壌は暗黒な雲が漂う。革命は自由を勝ち取る正義だと思ってた。正義でも悪でもない。ただおびただしい血が流れたのをその土地は知っている。とても冷静に。家族で夕食を食べる日々が続くのを地球上の全ての人が望む。ヴァンテ軍の鞘と革命軍の剣は一つになるのか。ルイ16世が処刑された背景、その後の歴史はこんなにも悲劇なんだと知ってショックだった。勝った者が正義の歴史を綴る。でも…。『百年、二百年後の評価において、あなたはただの大量殺人者です』2015/11/22
しーふぉ
19
次々とヴァンデの好漢たちが散って行く。皆殺しにすることが革命なのだろうか?鞘と剣が一つになったことだけが救い。2017/12/27
Hepatica nobilis
19
革命期ヴァンデの叛乱を題材にした歴史小説。登場人物はほとんど実在。ロベスピエールやサンジュストなど革命の立役者たちがよく書けていて、後半の叛乱軍の壊走の憂鬱な部分まで含めて長丁場も飽きさせない。それに若きジュリアンが狂信する革命の理想と現実にぞっとさせられる。2017/02/19
逢日
15
再読だが、下巻のみ登録漏れ。読み応え大。藤本さんの中では屈指の名作。フランス革命を考えたい人は絶対読むべき。ロベスピエール、ジュリアン、アンリ、オッシュと全然違う場所と視点での展開がしばらく続くので、容易ではないが是非挑んでほしい。日本でこれに触れている本はほとんどないし、フィクションとのバランスもさすがの藤本さんなので引き込まれる。敗走辺りからは胸が苦しくなる、涙が堪えきれない…が、それでも読む。知らねばならない。私にとっては心に突き刺さる、出合えて良かった一冊。2014/05/20