創元推理文庫<br> 獣の記憶

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創元推理文庫
獣の記憶

  • ISBN:9784488287030

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内容説明

首のない死体。野獣に噛みさかれたような傷跡。ジェヴォーダン地方では、謎の人死にが続いていた。犠牲者は既に30人を超え、ほとんどが若い女や子どもだった。狼か未知の獣の仕業なのか。獣の正体に興味を抱いた博物学者の卵トマは、ヴェルサイユから派遣される狩人に無理矢理同行する。襲撃のあった現場付近の領主の城で、トマは“野獣”に襲われて生き延びたらしい美しい少女に出会う。だが貴族の娘である彼女は襲われたときの記憶を失っていた。18世紀のフランスを舞台に、謎に包まれたままの怪事件の真相に迫る、ゴシックミステリ決定版!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

28
トマの恋のお相手の女性の愛称はフランス語で美女を意味する‘ベル’で、何やら、かの有名な『美女と野獣』にも擬せられる。トマは、最初のうちこそ土地の者達にはバカにされるが、気の合う仲間や気になる女性との交流によって、少しずつ逞しくなってゆく。これは彼のビルドゥングスロマンでもあるのだ。漫画『ベルサイユのばら』の読者であれば、ルイ15世の公妾デュ・バリー夫人の名前を知らない人はまずいないだろう。漫画では「王の寵愛を笠に着た傲慢な女」というイメージがどうしても強いが、本作を読めばそのイメージは一変する。2015/11/23

只三郎

27
18世紀 フランスのジェボーダン地方で実際に起きた謎の野獣による襲撃事件を元にしたゴシックミステリー。 謎の野獣の正体を追究することに重点を置いた物語かと思ったが、事件に係わる人達が抱える秘密、そして心の奥底に秘めている思い等についても描かれており、実に面白かった。ジェボーダンの獣については映画でも観賞し面白く感じたが、実際の事件の真相はどうなのか、凄く気になってしまう。いつかは真相が明かされる日が来てほしいと思う。2018/06/17

鳩羽

17
十八世紀フランス、ジェヴォーダン地方で起こった女子供が野獣に噛み殺される事件をもとにしたゴシックミステリ。若い博物学者のトマが国王の狩人に同行し事件を調べていくうちに、狼の仕業だと思われていた凶行に疑念を持つようになっていく。悪夢に苛まれる侯爵の妹イザベルとの出会い、ケルト人やオック語、獣と人間といった境界のあわいを漂うような雰囲気から、中盤は一気にドラマティックな展開に。美女と野獣の話や童話童謡も絡めつつ、なんとも盛りだくさんな内容。歴史上の人物がいい味を出しててよかった。2015/11/22

熊猫

13
18世紀フランスで実際に起きた狼のような獣が殺戮を繰り返した事件を題材にしたゴシックミステリ。 抑圧されながらも逞しく生きる女性たちに惹きつけられる。その中にはあのデュ・バリー夫人も! 理想に燃える軟弱学生の主人公には時々イラッとさせられるけど、狂言回しも担わされているせいであろう。 モチーフに持ってきた御伽噺とか童謡とかは結構好き。 様々な恋と結婚が物語を彩っていて(そのせいでややモタつく感もあるけど)ロマンス読みクラスタさん案件だと思われる。2016/01/02

まある

9
18世紀フランスで実際にあった《ジェヴォーダンの獣事件》を題材にしたゴシックミステリー。映画化もされたこの謎の惨殺事件は、結局解決されないまま終わる。歴史上の事実と作家の推理を交え面白く仕上がっている。映画と人物設定などはほぼ同じだが、物語は異なっている。2016/04/28

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