内容説明
1985年12月24日。霞が関の内務省本省庁舎では、国会待機が奇跡的に解除されたとの報を受け、この日が警保局職員の定時退庁日に指定された。定時を過ぎて、庁舎に残っている職員は、二条実房・特高企画課筆頭補佐ら6名だけだ。穏やかな聖夜の静寂は、しかし、侵入してきた見知らぬ3人の男女によって破られる……。本格ミステリと警察小説が奇跡のハイブリッドを遂げて誕生した、美しくも凄惨なる悲劇。渾身の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
64
あるクリスマスの晩、強欲な金貸しの所に三人の亡霊が現れた。過去と現在と未来を見せる三人の亡霊が。そして今年のクリスマス、当直の二条実房の元には三人のテロリストが現れる。一昨年までのクリスマス、あの娘は少しだけ寂しそうに笑ってた。去年のクリスマス、一夜にしてあの娘は聖女になった。そして今年のクリスマス、あの娘は何も知らずに笑っている。来年も、その次のクリスマスもあの娘がもっと幸せに笑っていられる様に。桜の日向、常春の国に住めます様に。聖なる夜に願いをかけて、四人の味方、三人の敵、二つの親子、そして一つの真実2015/11/09
藤月はな(灯れ松明の火)
29
逓信局はまだ、民営化されてなくて、ハーゲンダッツが日本での販促のため、食べられる店舗を広げていて電話を掛けてもらうためにポケベルを使っていた頃。国会中止によって警備部は「久しぶりに定時で帰れて家族で過ごせる!」と思っていた・・・。極左グループによる立て篭りが起こるまでは。そして起こる殺人事件。限られた情報と監視状況で頼みはハーゲンダッツを買いに行った平園刑事とのポケベル通信のみ。若き日の伊予のコロンボ、外田さんも名前だけ、登場。注意していたのに伏線を零していたのが悔しい。しかし、二条さんの選んだ道は茨の道2015/12/02
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
27
「二条実房シリーズ」3作目。 序章でガッツリ引き込まれ、でも続く第1章が少々辛かった! 国会対応に追われる警察官僚の図…なんですが、単調で眠気に襲われました(笑)。 だけど、読み終わればちゃんと伏線が張られていますね。 第2章以降は緊迫感があり、どんどん読み進められました。 遮断された内と外のやり取りがポケベルって辺りが、時代を感じさせるし懐かしい~(笑)。 そして、このシリーズはやっぱり哀切な本格ミステリーで面白かったです。 成瀬と二条、義理の親子の今後が気になります☆2015/10/10
TAMA
20
このシリーズは外れなしだなぁ、と改めて実感。冒頭は読み慣れない内容で読むのが遅くなったけど、現場で事件が発生してからの展開は流石。2015/10/17
kmfm
17
推理小説としての読み方もあると思うが、この独特の世界観、文体から、奇書と言ってもよいのではと思った。理解不能な部分が多いが、ストーリーはおおよそつかめた。しかし読むのに疲れた。2015/10/18