ハヤカワ文庫NV<br> リトル・ドラマー・ガール 上

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ハヤカワ文庫NV
リトル・ドラマー・ガール 上

  • ISBN:9784150406417

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内容説明

ヨーロッパ各地で頻発する、ユダヤ人を標的としたアラブの爆弾テロ。その黒幕を追うイスラエル情報機関は、周到に練りあげた秘密作戦を開始した。一人のアラブ人テロリストを拉致したイスラエル側は、イギリス人女優チャーリィに接触し、協力を依頼する。彼女の任務は、ある人物になりすますことだった。厳しい練習を重ね、綿密に人格をつくりあげたチャーリィは女優としての全才能を賭けて危険な演技に挑んでゆく!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

98
イスラエル人とパレスチナ人との闘いはハンムラビ法典の復讐法の“目には目を、歯には歯を”そのままの歴史だ。そんな闘争にイギリス人女優をスパイとしてパレスチナに潜入させ、テロリストのボスの居所を突き止め、殲滅させるという、とても魅力的かつ驚きの内容だ。その国の文化や風習を頭と身体に叩き込み、生活に溶け込み、重要な情報を自国に漏洩させる、つまり24時間、他人を演じなければならないのがスパイ。それを演技を職業とする女優にさせる、この誰も思い付きそうで思い付かなかった設定を持ち込んだのがル・カレの着想の凄さである。2023/06/14

コージ

5
最近女性を主人公にした「震えるスパイ」「戦場のアリス」「潜入モサドエージェント」と諜報機関を職業とした女性の壮絶な冒険小説を読んで、じゃあラスボス的な感じで本作品を読んでみようと思った。ル・カレの小説は大昔スマイリー三部作の第一冊目の途中で挫折した苦い経験があり不安だったがなんとか読み終えた。感想は下巻も読んでからにするとして、やっとル・カレの小説が読める年齢になったんだと思えた。2020/05/12

hit4papa

5
女優をつかったスパイ活動を描くエスピオナージです。非情に長く展開の遅い作品ですが、何気ない会話や仕草が重要な伏線なので、軽く読み飛ばすことができません。読了するのに時間がかかる分、それに見合う価値は十分あります。途中退屈でも投げ出さず、最後まで読み通して欲しい作品です。

k.kishida

4
上巻終わり。ジョン・ル・カルの作品は前半が長い。延々と助走が続く感じです。下巻に入ればストーリー展開が早くなっておもしろくなるのでしょうけど。ということで、続いて、下巻へ2012/05/18

kthyk

3
「彼がギリシャでいったことを思い出す。古代遺跡の投光照明は現代の蛮行である、なぜなら神殿は、下からでなく上から太陽に照らされるのを見るように建てられたのだから。」古代劇場と現実劇場のドラマと現実が三重に錯綜。そして、上巻のパルテノン神殿でジョゼフがチャーリーに語った言葉、このシーンがドラマを大きく展開させる幕開け。長くて周到緻密なジョン・ル・カレのスパイ・サスペンス。数多く、様々な都市で展開される人間ドラマの楽しみは尽きないが、この小説こそ、彼のトップレベルの秀逸作ではないかと思いながら一気読みしている。2020/10/20

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