ハヤカワ文庫NV<br> リトル・ドラマー・ガール 下

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ハヤカワ文庫NV
リトル・ドラマー・ガール 下

  • ISBN:9784150406424

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内容説明

イスラエルとアラブの熾烈な戦いの渦中に身を投じたチャーリィ。アラブのテロ組織に接近し、その一員になることを申し出た彼女は、軍事訓練を受けるべくパレスチナ難民キャンプへ送られた。そこで彼女が見たものは、果てしなき暴力と憎悪の応酬を続ける二つの民族の悲劇的な姿だった。やがて訓練を終えたチャーリィに、ある要人の暗殺任務が与えられるが……巨匠がスパイ小説に託して中東問題の本質に鋭く迫る衝撃の巨編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

103
イスラエルとパレスチナの戦いはやったらやり返す。しかも徹底的に、容赦なく。血を血で洗う復讐を行うがために連鎖が止まらない。「世界で最も手に負えない紛争」と呼ばれるこの2者の戦いは世界の歴史に学ばない者たちの争いの歴史だ。話し合いで解決しようとしない2者を愚かに思うだろうが、それが彼らの性(さが)なのだ。今なお続くこの2者の対立はいまだに多くの犠牲者を出している。血まみれの死屍累々の闘争。それに今現在ウクライナとロシアの闘争が加わった。いやはや今の世界は実に愚かに過ぎると思わざるを得ない、哀しいことだが。2023/06/14

yooou

9
☆☆☆☆★ イスラエルとパレスチナの今なお続く対立と紛争。パレスチナ問題を作り出してしまったイギリス・ヨーロッパの国々。そしてその三つ巴の対立関係のなかで利用され翻弄されていく主人公チャーリー。そして彼らの運命は。この救いのなさ、出口のなさを40年も前に抉り出しているル・カレの慧眼さに驚く2022/08/08

コージ

4
「テロとの戦い」を描くのであれば、テロリスト側を悪として徹底的に叩くのが普通。本作品はモサドVSテロリストであるが主題はイスラエルVSパレスチナで、どちら側にも正義がありどちら側にも戦う大義名分がある。それを肩入れせず中立の立場で描いてるのが凄い。自分なんかは後半の怒涛の展開でパレスチナ側に肩入れして読んでしまった。本作品の70%ほども理解していないと思うから、いつか再読の筆頭になると思う。2020/05/17

おくちゃん

4
ジョン・ル・カレ特有の構成。上巻は話のテンポが遅く読むのが辛い。伏線の嵐。一行でも斜め読みすると話が繋がらない。けど、下巻、特に最後の100ベージは止まらなかった。上巻で読むの止めなくてホントに良かった。スマイリー三部作を読み返そうかな。2019/05/14

いなお

3
ヒロインのチャーリィがコニー・ウィリスの書く女の子のようで(より性的だが)こういうのも書けるんだ……って/これ以上の終わり方は望むべくもない2017/06/07

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