内容説明
神隠し伝説が残る田舎町の高校に転校してきた久守徹は、天狗と呼ばれ人に遠巻きにされる孤高の少年・野見大地に誘われ廃部寸前の地学部に入部する。風のようにあらわれ石と戯れる大地に徹は惹かれるが、大地にはまだ誰にも明かせない秘密があった。それは人の記憶を内にとどめ後世に伝える「決壊石」の不思議だ。大地は初めてその秘密を徹に打ち明ける……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるき
28
表紙が何とも良い感じでタイトルもいい。ただ、肝心な中身がちょっと肩すかしかな?いい人しか出てこないのは弱点にもなる・・・・。もっと大事かと思ったのになぁ。2016/04/09
はる
24
石から想いや記憶を受け継ぐという不思議な能力を持つ大地と、そんな不思議な土地に転向してきた徹。歴史は遡り彼らの先祖からの思いに縛られる2人。石や紫水晶のことなど知れるのは楽しかったけど、意外と最後がさっぱり終わってしまったのがなんだか物足りず。でも最近好きな系統の本でした。2024/11/17
しましまこ
23
単行本既読。大好きな三木さん、文庫化嬉しい読みますとも! 強い感情は石に宿る。石に刻まれた感情を読む大地は祖父の一生分の記憶を持つ決壊石を持ち、祖父が待ち続けた人の記憶を繰り返し読んでいる。そんな大地から「誠実で揺るがない」紫水晶に例えられる徹。二人の物語を軸に、大地の祖父の約束の物語、徹の父と同級生の物語、三世代の友情が語られる。祖父が百年かけても果たせなかった約束を守り続ける大地。強引だなとは思うけど、三木さんの語る変わらないもの美しいものにまた泣かされた。2015/10/04
うめ
22
ドストライクなファンタジー。石に封じられた記憶と、時を越えて形と意味を変えた思いが織りなす極上の物語。男性同士の絆のお話だけれども、世に言うBLくさくなく、純粋な尊敬と敬愛が書かれているのが良くって。(私はBLは×なんですあれは無理)耽美になり過ぎず、説教臭くもなく、会話と人の心が美しく、理知的で知性的で、感性豊かで、上品で、余韻がある。好き。この人の紡ぐ物語をもっと読みたい。人に誓える永遠なんて短く儚いと思っていた。だけど違う。人は大事な人と過ごす一瞬一瞬を魂に深く刻む事で永遠を手にできるのだ。2016/02/08
きょん
17
三木さんの男性ばかりの世界は美しく哀しいなあと、堪能致しました。しかし、逃げて解決する問題なのかの見極めを誤った事と他人との対話から逃げた航父さんのヘタレっぷりがこの事態を招いたという気がしてならない。メインの登場人物たちの誰かが良くも悪くも現実から逃げられない女性だったら、こうはなってなかった気がするな。その分物語の美しさも減った気はするけど。2015/10/21