内容説明
今宵も、バニーガールがやってくる。
――3年前、とある6人組が、中華系マフィアの金庫番一家を強襲し、3億円を強奪した。
その事件は、闇にのまれ、以降ニュースに取り沙汰されることもない。
それから波風の立たぬ生活を送っていた俺たちだが、ある日仲間うちの一人が、繁華街の路地裏で首を切られて死んでいた。
心当たりは、もちろんあった。
愉快犯で、たまたま仲間が殺されただけ、そんなことも考えた。
だが、同時にまた一人、仲間が消えた。
完全に、クロだった。
狙われているのは、俺たちだった。
そして、街には不思議な噂が流れ始める。
バニーガールが、殺しに来る、と。
華奢な見た目を装った、バニーガールが襲いに来る、と――。
決して犯してはいけなかった罪を、きっと犯してしまったのかもしれない。その贖罪にはもう遅く、しかし罪を受け入れるにはまだ早い。
俺たちは、この理不尽な死神から、逃げたり立ち向かったりしながら、緩やかに死んでいく。
――そして今宵も、彼女はやはり、やってくる。
ピンヒールを優雅に履いて、レオタードに身を包み、真っ白な髪の綺麗な顔で、ご丁寧に赤いグラサンまでかけている。
そうだ、彼女がやってくる。
バニーガールがやってくる。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
139
ライトノベル的萌えは表紙だけ。バニーガールが殺しにくる、というぶっとび設定も読んでみれば妙なリアリティーがある。暴力や殺戮があっても誰一人共感できる人物がいないので高揚しない。素っ気なくも的確な文章にも神経を逆なでする尖りがある。あえて読者を突き放すような作風はまるで翻訳もののパルプ・ノワールを読んでいるかのよう。こうザラッとした味わいの作品の受け皿がライトノベルってのも面白い。こういうとこが好きだぜガガガ文庫。漂う虚無感はやるせないながらも嫌ではなく、遅ればせながら江波作品読んでいってみよう。2015/10/01
藤月はな(灯れ松明の火)
81
どうしようもなく、気がくさくさしている時に読みたい、「可愛い絵に騙されてはいけません」系統のパルプ・ノワール小説。暴力のアマチュアで死に急ぎなロクデナシ共をプロであるバニーガールが爪先立ちで獲物に忍び寄り、屠る。トンプソン作品の屑な登場人物の描写やマンシェット作品の筋の通ったイカレ感、『ファイトクラブ』の破滅願望を大鍋にブチ込んだような風味。なぜ、殺し屋が白髪・赤眼なバニーガールという格好にならざるを得なかったのかという理由にぎゃぁああああっっ!!そして「女」の身である私としては燐華の考えに共感してしまう2015/10/05
harass
47
表題は名作RPGのウィザードリィのモンスター、首刈りウサギの名。このゲームをオマージュにしたバイオレンスもの。バニーガールの姿をした謎の襲撃者に、襲われる6人組。彼らは中国系マフィア同士の抗争に紛れて数億の金を強奪し、姿を隠して三年。完全に逃げられたと思っていたのだが…… 容赦ない描写と独特の独白は、最近非ラノベをてがけるようになった著者特有のものだとよく分かる。ラノベの実験場と揶揄されるレーベルでしか出ないような作品。まあまあ面白い。2017/03/15
まりも
46
江波さんのガガガ最新作は悪事を働いた6人の男女を殺す為に、バニーガールの格好をした殺し屋が差し向けられる話。安心安定のクオリティ。バニーガールが表紙を飾っているので萌要素でもあるのかと思ったら、中身を空けてみると血と肉が飛び散る超硬派なアウトロー作品でした。登場人物も其々最高に狂っていて、誰が悪くて誰が正義なのかとか全く関係の無い感じがクールで素晴らしいですね。バニーガールが殺しにやってくるというバカな発想を使って、ここまでの作品に仕上げるとかやっぱり江波先生は最高だと改めて感じる事が出来た1冊でした。2015/09/20
水無月冬弥
31
江波光則先生の #ラノベ さすがガガガというべき、ダークでバトルな物語ですなあ、ちょこっとウィザードリィっぽいけど、それだけで、こう悪党が悪事を働いて死んでいくだけですな、ウサギさんかわいそうです 2015/10/07