内容説明
名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨を描く。
15歳で家出し、20歳で三遊亭小円朝に弟子入りし、朝太の名をもらう。
「一人前の噺家になるまでは家にはかえらねぇ……」。
落語への情熱は本物だったが、10代から覚えた「飲む、打つ、買う」の3道楽は止められない。師匠を怒らせ、仕事をしくじり、借金を重ねていく……。後の名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨だった。
上巻では不世出の天才落語家・志ん生の若き日が、生き生きと描かれる。
「ハードボイルド小説の先駆者」といわれた結城昌治の、また別の顔が垣間見られる力作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
30
五代目古今亭志ん生を描く伝記的小説。どこからが創作なのか判らないが、生活において相当ルーズだった人なのは間違いない様だ。随分昔に読んだ「なめくじ艦隊」などでも本人の「飲む・打つ・買う」は語られているがこれほど荒んだ生活だったとは。とは言えご本人は「荒んだ」とも思っていなかったのかもしれない。好きな三拍子をやってそれが芸の肥やしになるなんて言う道が残されているのだったら、そりゃ幸せなことだろう。本巻後半になって漸く奥さんが出てきた。この奥さんこそが名人志ん生の本当の生みの親ではないだろうか。ワクワク下巻へ。2019/02/13
もだんたいむす
8
読みながら、この方の落語が聞きたくなったくらい面白かった!呑む、打つ、買うは当たり前の破天荒な男がすごく魅力的にみえてぐんぐん物語に引き込まれていった。★★★★★2016/01/25
葉隠
2
一気読み^_^ まるでシドヴィシャスの伝記を読んでるようでした(笑) 考えてみれば初期パンクと落語は基本精神は近いのかも...2020/01/28
OMO
0
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2021/02/23
Peter-John
0
古今亭志ん生。志ん朝の父親といっても、どちらもわからない人がいるかもしれません。 結城昌治は『斬に処す』を読んで、次に何を読もうかと考えてこの本にしました。というのも、今年のNHK大河ドラマ「いだてん」に古今亭志ん生がビートたけしと森山未来の2人が演じているからです。若い時代の志ん生が浜松で無銭飲食で留置場に入れられ、バナナに釣られて落語をするという話がありました。この本にも出てきます。 それにしても、飲む・打つ・買うでここまで貧乏な生活ってあるのですね。2019/06/29