内容説明
天才落語家の破天荒な生涯と魅力を描く。
酒のしくじりで寄席に出られなくなった孝蔵は、落語以外に自分の生きる道はないと痛感。高座復帰後は、少しずつ人気も上昇し、昭和14年、念願の五代目・古今亭志ん生を襲名。
戦後は名人・文楽と並び称されるほどの存在になり、[飲む・打つ・買う]は相変らずながらも、生活が安定していく。しかし、下積み時代の仲間が次々とこの世を去っていき、脳出血で倒れた志ん生も次第に高座から遠ざかってゆく……。
下巻では不世出の天才落語家・志ん生の、戦前、戦中、戦後と駆け抜けた破天荒な人生を描く。
「ハードボイルド小説の先駆者」といわれた結城昌治の、また別の顔が垣間見れる力作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
33
志ん生の「小説」、どこからフィクションなのか。周辺の逸話を考えるとかなり実像に迫っているのではないか。とすると志ん生は如何にダメ人間だったか。そりゃ最後は「名人」だったかもしれないがお友達にはなりたくない。「破天荒な人生」と言うのはそれを許してくれる身近な人々(特に奥さん)がいるから成り立つのだなと思う。これは「りんさん」の物語でもある。作者は落語の粗筋、そしてその時々の時局世相を簡潔に要点を得て解説もしてくれる。週刊誌連載の昭和50年当時の雰囲気も良くわかり面白く読めた。実は志ん生のファンです。2019/02/15
もだんたいむす
7
いやぁー、本当に破天荒な人生でした。このとんでもない感じの経験がすべて芸の肥やしになったんだろうな。カエサルみたいな人だなと思った。★★★★★2016/01/26
葉隠
2
最後まで読み通したら感想が変わりました。シドの自伝的と思ってましたが、実はジョーストラマーに近かったんですね。2020/02/03
OMO
0
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2021/03/02
Peter-John
0
いろんなことをしくじりながら、結婚した志ん生は(落語家としての名前の遍歴はすごい)、あいかわらずの貧乏暮らしをしています。 彼の暮らし向きがよくなるのは満州か引き揚げてきてからです。なぜかあっというまの成功です。 ところがおおきな落とし穴があります。 結城昌治、乾いています。2019/06/29