内容説明
すべては、母に疎まれたことからはじまった
渇いた心が信長を天下統一へと駆り立てた。「下天は夢か」から四半世紀を経て、より深い人間解釈によって描かれる津本文学の集大成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブラックジャケット
12
著者のブレイクとなった「下天は夢か」から四半世紀後、新たな信長像に向って書き上げられた歴史小説。当時話題になった名古屋弁の会話は今回も踏襲、生き生きした群像が再度動き出す。信長という稀代の天才、あるいは理不尽な狂気をどう見るか、小説家の洞察は女性に向けられた。幼少期から 壮年期まで、生みの親土田御前から無視・無関心の心理的圧迫を大きく取り上げた。精神構造上の大きなトラウマが信長を規定した。この独創的な解釈に胸がざわめく。反面、三人の子を成した吉野の存在を称揚した。美濃攻めの不調は吉野の病気にあった。 2020/11/09
春風
10
津本陽氏、最後の信長伝。上巻は凡そ、金ヶ崎の退き口まで。独特の史伝風な作品のため、文庫版の読メでのレビュー数も未だゼロ、店頭でも新刊にも関わらず早々に平積み撤去という憂き目を見ている。信長好きな方には、無論オススメできるが、戦国史の知識があまり無い方には酷以外の何物でもない。内容は、信長の内面に深く切り込んだもので、土田御前と吉野がキーパーソン。この二人の存在が、信長の行動原理を形作っていったという解釈がベースとなっている。以後の信長の心理変化の描写が期待される。下巻へ。2015/07/30
m.m
5
吉野とのからみは今までの信長の印象とは違い驚いたがこの信長のほうが好きだ!土田御前はヒドイヽ(≧Д≦)ノ2015/09/20
キアヌ安倍
4
久しぶりの尾張弁を話す信長。やはりいいなぁ〜2015/08/05