内容説明
人の棲む所、必ず「ものがたり」がある。伝説、民話、童話、小説――人は「ものがたり」なしに生きられないものらしい。東北をかわきりに、北海道、広島、四国……前作で訪れ得なかった地を訪ね、ますますパワフルに検証&思索を続ける。A・クリスティやフランス文学の名作など、話題は西洋の作品や、物語論にも及び、汲めども尽きない。風土と「ものがたり」のかかわりを徹底的にみつめた傑作エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クラムボン
16
続編の今回は岩手、徳島、北海道、広島、東京の《ものがたりの地 》を訪れる。岩手は物語の宝庫。石川啄木、野村胡堂、金田一京助、宮沢賢治はみんな盛岡中学の出身だ。これは岩手の風土が持つ《何ものか》が影響しているのか?そして今回気になった地が広島の北部山間地。まず庄原市の文覚堂。平家物語の後、承久の変で隠岐に流罪、許されて京に向かう途中この地で祀られたそうだが怪しげ。もう一つは田山花袋の「蒲団」。ヒロインの実家が上下町にある。紀行文「備後の山中」でこの家を訪ねた思い出を語るのだが、併せて読んでこそ面白いそうだ。2021/12/25
MIKETOM
1
さて続編。岩手ってのは意外にこの手の話題の宝庫らしい。「遠野物語」「宮沢賢治」「平泉の義経伝説」「石川啄木」etc これは隣県としてなかなか嬉しいね。北海道はアイヌ伝説や「飢餓海峡」「羆嵐」など。徳島は有名な人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」他にジブリ風の「阿波の狸合戦」というユーモア小説があるらしい。広島は志賀直哉や林芙美子を取り上げているが、なぜか原爆文学にはひと言も言及していない。そこはちょっと不満だったな。あとは東京の「武蔵野夫人」。日本は本当に素晴らしい文化を持っている。そのことを誇りに思うね。2015/08/07