内容説明
日野富子の喜びもつかの間、生まれた若君はその日のうちに変わりはててしまった。呪いをかけたのは誰か? 嫌疑をかけられ死罪の宣告を下された今参局は、懊悩のうちに切腹。その後、天変地異がつづき、餓死者が都にあふれるが、義政は孤独を癒すかのように銀閣の造営に命を傾ける。8代将軍義政の愛と孤独に、室町幕府崩壊の一大ロマンを描いた長篇歴史ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KEI
2
登場人物一人一人が生き生きと描かれ、往時の庶民、貴族の生活が偲ばれ、歴史の中の足利義政が苦悩する‘人’故に、政治を忘れ、作庭に巨費を注ぎ込んでいった様子が見事に描かれていた。次の将軍の座を争う事がきっかけとなり、それまでの各地での紛争も火種となって10年にも及ぶ乱になっていった歴史的な背景が理解できた。千草は日野登美子の双子として生まれ、捨てられたという設定は上巻の頃から感じていたが、最後の作中作家まで摩耶夫人の戯言に騙されていたとは。。幻花とは何重にも掛けられた題名であった。面白かった。2013/07/18
にゃん
2
京都が焼け野原になって奈良へ舞台が移り、自分もちょうど、興福寺に行っていたので、不思議な縁を感じた。 善政は銀閣寺をあんな気持ちで建立したのか・・としみじみ泣ける。 ラストのオチはよくわかりません。誰か解説して欲しいです。2011/11/17
ウクレレまさあき
0
横尾忠則の挿絵展がきっかけで読み始めたけど、今は、足利義政に激しく共感してる。 生れながらに将軍で出世欲は無く、統率力や政治力が無い割に望んだものは必ず手に入れる。周りに翻弄され、お今を亡くしてからは、思い通りにいかないことばかりで庭作りに逃げ込む。 僕もそれなりに自覚を持って勤めてきたけど、自分の意欲と能力の限界も見えてきて、出来ることなら「出家」したい。 本と絵画展で、この1ヶ月間「幻花」を堪能した。2018/10/13