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内容説明
とある孤島に、二人の男と一人の女。淡々と修行を続けていたはずの彼らだったが、『副議長』と『オペレーター』は互いに惹かれあい、常軌をを逸した『議長』の言動はエスカレートしていく。二人の関係が知られると、『オペレーター』は罰を受けるが、『副議長』は反旗を翻して『議長』を排除する。二人だけになった島で、愛欲の日々に耽溺する『副議長』と『オペレーター』。そこへやってきた『第三本部長』は、もうすぐこの島へ『みんな』が集結してくるのだと告げる。『みんな』とともに現れる『先生』。孤島の生活は、ついにカタストロフを迎える……。
閉鎖された空間での規則的な自己運動と内部崩壊を、山本直樹ならではの醒めた視線でありながらユーモラスに描く本作は、今もなおリアルなものとして切実に訴えかけてきます。必見の作品です!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かながわ
3
巻末インタビューまで読んで得心、エロくしたい方でしたか。それは置いといても洗脳にかけていく手法はイメージ追いやすい。代表格の先生・ラストの余韻が印象的。2021/05/03
加藤久和
3
オウム真理教や連合赤軍リンチ事件など、いろいろなカルト集団の要素を詰め込んで読みやすく面白い作品となっているところなどやはりさすが。抑圧的で汚い現実に対してプロテストする思想が、得てして攻撃的なカルトに行き着いてしまうことに悲しさを感じる。現実と妄想の交差点。というかあまり堅苦しく考えることなく、奇妙な人々の行いとエロを素直に楽しめばいい作品という感じもする。2018/10/10
HK
3
すごい傑作。クローズドサークルで狂気が濃縮されて言動がどんどん逸脱していく展開のリアリティは尋常ではない。カルト宗教というセンセーショナルな題材を扱う本作は、エロく(これはどの作品もだけど)、狂っていて、過激で、陰惨であるにもかかわらず、非常にクールで乾いた距離感のある視点を持っている。その乾いた感じが、逆に読んでいて不安感や虚無感、違和感を増幅し、妙に居心地の悪い感じを抱きながらも読むのを止められない作風は本当に独特。なんとも言えない寂寥とほのかな希望を感じさせるラストは絶品。2015/07/08
Momi Yamashita
1
山本直樹氏の作品では、もっと好みのものがあるが、インパクトと気持ち悪さは彼のワールドならでは。もっと深読み出来る作品が好きなので再読はしないだろうと思う。2019/01/16
3247
1
現実、幻覚、正気、狂気、新興宗教、隔絶された島。幾重にも張りめぐらされたレイヤーによって、描かれる/進行している事態は常にどこかに懐疑をはらみ、物語も佳境に入ると妄想とテレビゲームが侵入してきて、現実は甚だ曖昧で不確かなものに成り果てる。現実と幻想のどこに線引があったのか、あの人物は存在したのか。今いる地平の不確かさ、それをどう引き受けるのか。この作品が描かれた90年代という時代を鑑みるに本作は山本直樹のひとつの到達点だろう。引きこもることと理想郷への脱出…このテーマは『レッド』で継続しているのだと思う。