内容説明
ウェーバーの難解な『倫理』論文の翻訳に初めて病躯を押して取り組んだ梶山力(かじやま・つとむ、1909-1941)は、戦前日本でウェーバー研究の礎石を据えた一人であった。いま忘却の淵に沈まんとしている名訳の聞こえ高かかりし梶山訳を復活・復権する。この復活版では、大改定がなされた『倫理』論文の改定内容が立体的に把握できるよう工夫され、また「アメリカにおける教会とゼクテ」の翻訳も収録。ウェーバー研究者必携の書。
目次
編者まえがき
凡例
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の《精神》〔梶山力訳〕
訳者序文〔梶山力〕
訳者解説〔梶山力〕
一 原著の学問的位置
二 マックス・ウェーバーの思想
一 価値判断排撃
二 理想型の概念について
三 ウェーバーの歴史観
三 本書の理解のための注意
四 本書に対する反対説(主として本位田博士による)
五 本書の内容
参考文献
原著者序言
第一章 問題の提起
一 信仰の種類と社会的階級
二 資本主義の「精神」について
三 ルッターのベルーフ概念。研究の目的
第二章 禁欲的プロテスタンティズムの職業理念
一 世俗的禁欲の宗教的基礎
二 禁欲と資本主義
アメリカ合衆国における“教会”と“ゼクテ”
――教会政治的・社会政治的な一つのスケッチ〔安藤英治訳〕
回想の梶山力〔小林昇〕
編者あとがき〔安藤英治〕
第二刷へのあとがき〔安藤英治〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
この訳者(梶山力)の本は最初岩波文庫で読んで非常に難解であったもののこの内容にはマッチしてじっくり読んだせいか内容をよく理解できたと思いました。その後大塚久雄先生訳が岩波文庫に収められましたが、訳がわかりやすさがあるもののあまり印象には残らない感じでした。未来社からその後この本が出版され読み直しました。ウェーバーの言わんとする欧州近代の経済人あるいは資本主義の根底となる考え方を理解しなおしました。2019/11/25
Tempest
5
大塚訳よりも難解であるが、こちらのほうがより原著の意図を正しく翻訳している。特に終盤の結論部は、大塚訳は全体をスポイルしている。多少難解でも、こちらを強く勧める。2008/12/04
tooka
3
職業意識というものが近代社会において生まれたものであることに純粋な驚きを覚える。労働や富といったことに対する考え方が忌避するものから、神が与えたもうた職であり、働かざることは不遜であり害悪となる。淡々と指摘されるがその経過は恐ろしい。2009/02/09
riow1983
2
資本主義の形成に宗教改革がどのような影響を及ぼして来たのか、あるいは資本主義形成のどの部分に宗教改革からの影響が見られるのか、という観点からスタートしているのであって、著者自身断っているように決してプロテスタンティズムが資本主義を産んだと主張しているのではない。さて資本主義のいかなる側面がプロテスタンティズムと関連付けられ得ると推測できるかという議論が第一章でなされ、続いて第二章前半部でプロテスタンティズムの系譜の分類(運命論を行動的側面と心裡的側面に分割し、前者を広義の予定説に、後者をイスラム的宿命論に2012/04/22
AC後屋
2
難解だったが、後半第二章はキリスト者ならサクサクと読める。大胆な仮説だが、なるほど当たっていると思わされることも多い。2011/06/13
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