内容説明
届け先不明の想いが流れつく郵便局の物語。
恋人へ、10年後の孫へ、がんで急逝した夫へ、
11歳で天国に行ってしまった息子へ、祖父母の愛犬へ、ボイジャー1号へ・・・。
心に響き、心を揺さぶる手紙69通を収録。
これらは瀬戸内海の小さな島・粟島にある、不思議な郵便局に寄せられた手紙。
瓶に詰められた手紙が海を漂うように、
届けたくても届け先がわからない想いがブリキ製の漂流私書箱に集まる。
その名は「漂流郵便局」。
旧粟島郵便局を現代アートとしてよみがえらせたものだ。
胸の内に秘めた想いが綴られた手紙と、瀬戸内国際芸術祭作品としての精巧なしつらい、ゆったりと時がすすむ粟島の佇まい…。
涙とともに、なぜか懐かしく心地よく癒される世界へと、読む人を誘う。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
170
届け先のわからない手紙を預かってくれる漂流郵便局。香川県の粟島という小さな島に実在する郵便局。建物のノスタルジックな佇まい、案内プレートのおしゃれ過ぎるフォント、淡い色合い、光、制服、漂流私書箱・・・あぁ、すべてが幻想的!なんなのこの郵便局!って最初の写真に興奮してたら、もともとは瀬戸内国際芸術祭に出展したインスタレーション、という事みたいです。「芸術祭が終わったからハイ撤収!」とはしないで、実際に機能する郵便局として残した久保田沙耶の心意気が素敵だ。私も手紙を出したいな。届け先の分からない心を乗せて。2015/09/24
mariya926
164
読友さんのお勧めで読みました。粟島にある漂流郵便局。瀬戸内国際芸術祭の為でしたが、本物の局員である中田さんをお招きして、今は受け取るだけの郵便局をされています。どこにぶつけたらいいか分からない想いを送ってきている方もいますし、未来や過去の自分に手紙を書いている人もいます。素敵ですね!自分の書いた手紙をちゃんと受け取って保管してくれている人と場所があるということが。また一つの芸術で終わらないで、本になったり、何度も訪れる方がいたり…。私も手紙を書きたくなったら送ります。続きもリクエストしておいて良かったです2020/09/26
high
133
[15-301-169]漂流郵便局は、届け先のわからない手紙を預かってくれる郵便局。未来の自分へ、もう会うことが出来ない大切な人への手紙。自分の気持ちにケリをつけるために書いた手紙。瀬戸内国際芸術祭の期間だけの、久保田沙耶さんによるアート作品だった漂流郵便局。芸術祭が終わっても手紙は増え続け、中田局長の提案によりそのまま開局となる。寄せられた手紙の温かさに心が洗われた。お気に入りは『100年後に同じ本を借りる人へ』の手紙(^^) いつの日か、若かった自分が言えなかった言葉を一通の手紙に認めて送ってみたい…2015/12/27
ちょろこ
128
綴る大切さを感じた一冊。届け先のない手紙を預かるという瀬戸内海に浮かぶ粟島にある「漂流郵便局」人って、時にどうしようもない心を抱え、置き場所を見つけられない時がある。そんな時に胸のうちをとにかく言葉に綴ってみたら…。文字は永遠に残るからこそ、想いが風化されるわけじゃない証になる。だからこそ言葉に綴る大切さを感じた。決して漂着しなくても良い。想いに終わりはないから。ずっとゆらゆら漂って、波に削られるように心も丸くなっていくのをいつか愛おしく思えたら…。そんな優しい眼差しを送る郵便局の佇まいにじんわり感動。2023/09/11
七色一味
114
読破。ファンタジーかなにかかと思ってたら、アート作品で実在する郵便局(日本郵便株式会社とは関係なし)だそうです。宛先がわからない人への郵便を保管していて、何通か実際の郵便が載せられていますが、これが、読むとボロボロ泣いたりほんわか温まったり。ちょっと外では読めない作品です。NDCでは816.6か914.6か、分類に困るな。748には、分類しづらいか…。2015/08/27