出版社内容情報
江戸に作られた富士塚から夜ごと奇妙なうめき声が聞こえる。その噂と前後して吉原で大火が起き、ある大見世の楼主が焼死した。現場では火を噴く巨大な輪の怪と、蛇と蛭のような座頭と法師が目撃され……。
内容説明
このところ、江戸のあちこちに富士山を模した妙な塚が造られている。特に根岸の塚には霊峰から運び込まれた巨大な碁石状の年輪石があり、何者かの呻き声が聞こえるという噂があった。同じ頃、吉原と尼寺で大火が起きる。現場では、火を噴く巨大な車輪の怪が目撃されていた。そこは以前、石燕が解決した怪事件と因縁の深い場所で…。異能の若き絵師が、妖怪たちと怪異の謎と想いを解く。痛快で時に切ない伝奇活劇、第2弾!
著者等紹介
神護かずみ[ジンゴカズミ]
1960年愛知県生まれ。國學院大學卒。2011年『人魚呪』で遠野物語100周年文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネムコ
15
鏡花や塗楽さまが石燕のところへ酒を酌み交わしに来るシーンが好き。妖怪退治屋の鏡花と、妖怪の棟梁の塗楽。どちらも「人間の友人」には縁遠い。そんな自分たちを自然に迎えてくれる石燕は、得難い存在なのだと思う。また、石燕を通じて鏡花は妖怪と、塗楽は退治屋とつなぎを付けようとすることもある。そんな付かず離れずの空気感が良い。酒や油をねだってゆく猫又の双尾丸もいい味を出してます。今回は、一巻で石燕の大事な女の人生を滅茶苦茶にした蛭法師と悪行の報いに目を失った蛇座頭のリベンジ。本気で憎しみをぶつける石燕がコワい。2014/02/11
めにい
6
時空を飛び越えた奇妙塔やらどらきゅうらやら、現代的と言えばそうだが・・・石燕が描く妖怪たちは実際に描かれたモノなのだろうか?2015/08/24
紅羽
5
蛭法師と対峙し、過去の因縁から脱却する石燕。今一つ煮え切らない関係の紗枝と幸せになって欲しいところです。それにしても何か悪い事が起こると妖怪のせいであって欲しい…と願わずにはいられない事件。本当の悪や闇は人の心の中にあるのかもしれません。2015/03/16
まめの助
2
★★★☆☆石燕夜行第二弾。妖怪物だと、ありえない設定でもすんなりその世界に入ってしまえる不思議。過去の因縁はすっかり抜けてしまっていたが、ちょっと抜けてる妖怪たちのやり取りや、石燕とお紗江さんのもどかしい関係は読んでいて楽しかった。2020/06/06
柳田町
2
妖笛、夜叉椛、輪入道の三編。妖笛には名前しか聞いたことのない妖怪も出てきましたが時代と相性がいいことや著者の腕でもあるんでしょう、違和感もなくするりと頭に入ってくる。続く夜叉椛では鏡花の印象になるほどと納得。石燕の過去にも一段落ついたようですし、二人の明日が明るいものであればと思います。2014/05/01