内容説明
「封建遺制の分析」 など占領下の時代に書かれ近代主義を批判した第一部 「封建遺制と封建制」/「近代化と伝統」 ほか、 高度成長期以来の近代化論を論評した第二部 「日本の近代化」/『菊と刀』 に啓発され 「義理と人情」 「公と私」 の問題をとりあげ、 日本の社会構造の基本的骨格を提示した第三部 「公私の観念と日本社会の構造」 より成る。
目次
第一部 封建遺制と封建性
一 封建遺制の分析
二 非近代性と封建性
三 日本農村における封建性
第二部 日本の近代化
一 序説 近代化と伝統──日本に関連して
二 日本の近代化に関する社会学的研究
第三部 公私の観念と日本社会の構造
一 公と私──義理と人情
二 ワタクシ(私)──オオヤケ(公)との関連において
三 日本儒教における義理の観念──日本における儒教の文化変容
四 シナの孝道について
──桑原博士の「支那孝道殊に法律上より観たる支那の孝道」を読みて
五 ベネディクトにおける「義理」の見解について
六 日本の考え方──高校生のために書かれた日本思想史
七 日本社会の階層構造──日本の社会構造における階層制の問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
20
1967年初出。別紙月報4 下村寅太郎「有賀喜左衛門さんのこと」で本領は日本農村社会の研究は、伝統に対する深い愛と健康な理解が基調になってゐる。質的な美感への共感(3頁下段)。日本に欠陥が多いのは個人生活が確立せず、新法で規定された自由も平等も、生活では実現していない。条件変化で不平等に転落し得る不安な状態(66頁)。今の格差社会も同様か。世界的な文化交流は最重要問題で、発展できた。文化は他国民に絶えず影響を与えた。この中にmodernizationが生じてゐた(129頁)。 2015/01/02
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