内容説明
金沢の繁栄の基礎を確立した加賀藩史上最高の名君
「政治は一に加賀」と評され、栄光の時代を築いた江戸前期の名君・前田綱紀の生涯を描く、前田家三代の華麗なる歴史絵巻の最終巻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hachi18
8
加賀の前田家の3代目~5代目の当主について上中下の三巻で書かれてます。前田利家、利長親子はよく目にしますが、その後の前田家がどのようになっていくのかは知らなかったので、これを読むことで、前田家の歴史がわかります。2016/08/14
yamakujira
7
光高の急死により、3歳で家督を継いだ綱紀の治世をえがく最終巻は、幼君を補佐する利常、若き藩主を導く保科正之、ふたりの薫陶を受けた青年藩主がたくましく成長して、金沢藩の隆盛を迎える。北國新聞に連載された郷土の偉人伝だから提灯記事ならぬ提灯小説かと思いきや、当時としては綱紀の施策を名君と讃えるのに納得できる。綱紀の死で筆を擱くのはいいとして、せめて吉治の人物像をもう少し書いて終わってほしかったな。乳児や妊婦の死亡率が高いことや、火事が多いこと、噴火や地震が相次ぐことなど、当時の世相も興味深い。 (★★★☆☆)2021/07/15
BIN
7
名君と呼ばれた前田綱紀。保科正之を師父とし、そこから学問に目覚め、最初は正之に倣いさらに善政をしいた名君。時勢を観て将軍に対し下手に出ながらも、譲らないところではつっぱねるその決断力。タイトルの千里の意味も明確になり、良いタイトルつけたと思います。後半で書かれていたがその学問に対する情熱は凄まじいところがありますね。前田利長以降のあまり知らない前田家の歴史がよくわかりました。こんなに将軍家との繋がりが深かったとは知りませんでした。長かったけどいい作品でした。それにしても火災多すぎ。2019/04/04
アニータ
1
なぜ名君と呼ばれたのか、この本を読んで分かった。学問に裏打ちされた知識、仁愛の心、祖父から受けついだ武の面、決断力、優れた藩主だったのだと思った。名君と言われていた陰で、妻子を次々に亡くしたり、あまたの災害に見舞われたりと色んな苦難を背負っていたことを知ることができた一冊だった。2018/06/12
うたまる
1
「もはや前田家の千里のかなたを見つめるのはそこもとの任となった。及ばずながらこの肥後も、千里の志をもってお手伝いいたします」……上中下巻1,500頁にくどいほど繰り返され、またタイトルにも込められた”千里”という言葉。それは江戸から領国加賀を想う距離のことであり、また前途の定かでない前田家の行く末のことであり、そして統治者の度量を表す器の大きさのことだった。読み終えてみると、乱世の英雄もいいが平世の名君もいいもんだ。保科正之と並び前田綱紀が世界史的にも先駆となる福祉政策を実践していたことに嬉しくなった。2016/02/29