内容説明
『エデン』――それは日本有数の資産家である遠江家が広大な私有地に作った集落で、芸術家や職人が集まり、さまざまな店を出している。唯一の家族である祖父を亡くした高校生の遼は、彼が『エデン』に残してくれた住居兼アンティーク雑貨店『エトワール』に引っ越してきた。自分がいつからか持っていた機械人形を店に飾ると、人形の持ち主だという少女が現れて…?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優愛
85
緑色のドレスを着て赤いバラの花束を抱えた、木の台に腰かけている可愛らしい女の子オートマタのララ。白を基調とした木の香り漂う店内エトワールの看板娘。忘れ去られていた記憶の欠片がはまる最後は奇跡のようで美しい。「たとえ何千回、何万回目覚めても、ぼくには奇跡が起こることはない」そんな彼を変えたのはオートマタの持ち主だという一人の少女だった――きらきら星が店内に響き渡る今僕はもう一人じゃない。隣には君がいるから、寂しくなんかない。One morning I awoke to find myself famous.2015/04/16
ゆかーん
40
自分の過去の思い出にコンプレックスを抱える少女。彼女の心を解きほぐしてくれるのは誰なのでしょうか?機械人形=オートマタを所有する少女は、機械修理の上手いオルゴール職人。幼い頃に無くしてしまったオートマタを追い求めて、彼女は「オートマタを持っている人と結婚します!」という啓示をネットに掲載してしまいます。更にそのオートマタには、一千万の指輪の秘密が隠されている事が判明…⁉︎その指輪目当てに、様々な人々がオートマタを狙ってやって来ます!金を求めて生きる大人の汚い部分と、少女の過去の記憶が蘇る切ない最後でした。2015/08/03
佐島楓
40
優しくて、上品な雰囲気が漂う作品。これはシリーズ化されるのでしょうか? 本作でデビューなさった作家さん。頑張っていただきたいです。2015/04/06
よっち
36
亡き祖父が準備を進めていた雑貨店を継ぐために引っ越してきた高校生の遼が、いつからか持っていた機械人形をきっかけに、人形の持ち主だった少女・きらと出会う物語。きらの母親が人形と誕生日を絡めて出した謎解きもありましたが、わりと大胆な一方でそそっかしいきらと、ピンチに陥ることたびたびな遼の組み合わせは、傍から見てるとやや危なっかしいながらも、微笑ましいというかうまくいってほしいなと思える二人でした。本作で一区切りという印象もありますが、広げられる素地もありそうなので、二人の今後を見守る意味でも続編に期待です。 2015/03/04
すみの
33
天涯孤独な西垣遼は祖父の遺した骨董雑貨店に住み込むために越してくる。店に持参したオートマタ(機械人形)を飾るが、これがかわいい遠江きらとの出逢いにつながり、そしてオートマタに絡む事件の始まりだった。遼の運の良いこと!(笑)家庭愛からはほど遠く寂しく孤独だった遼の描写はそれほど多くない。価値ある家伝の指輪とオートマタを実際にぜひ見たい。2015/06/17