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内容説明
ワールドクラスの大学では、グローバルな問題を解決すべく、世界中から優秀な教員と学生を集め、人材育成に努めている。オックスフォード大学が、その先頭集団を走る秘訣は何か? 同大学にあって、東大に欠けるものとは? オックスフォード大学で教壇に立つ元東大教授が、中世以来の伝統的教育をつぶさに報告し、ニッポンの大学が抱える課題を検証する。巻末解説文・潮木守一氏(名古屋大学名誉教授・桜美林大学名誉教授)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
14
本書の最大の特徴は、イギリスの大学について本やレポートなどの文献で調べただけでなく、著者自身がオックスフォード大学の専任教員として内部の事情をよく理解、体験した上で書かれている点にある。前著のアメリカ編と同じではあるが、短期であったアメリカ時と比べイギリスの歴史、文化、経済、生活などもろもろの事情も含め、多角的に考察した優れたレポートである。イギリスでは講義、試験、成績のどれもが厳格で日本の大学(タイも同じだが)のような甘さはない。優秀な成績がそのまま、院の入試や就職の際に、重要な情報として参照される。2016/02/16
Nobu A
9
購読本読了。東大からオ大に移り、参与観察を通してのグローバル化時代の大学比較論。同筆者の「アメリカの大学・ニッポンの大学」に続いて読み、更に興味深い。雑多なコースの講義を聴き、ノートを取る日本の大学に対し、個別指導を基盤に膨大な文献課題を与え、思考の痕跡を残すレポート、そして突き詰めた議論と異なる学習形態を持つオ大。産学関係等、取り巻く歴史的環境側面からも考察。加えて「顔の見える・見えない」「日本の大学は体験学習の場」等、端的に表す言い回しが読解力を上げ、読みやすい。恩師による解説も卓抜。学ぶこと多数。2018/04/19
tolucky1962
8
イギリスの大学での個人指導を含めた教育方法,階級社会で教育された者への考え方から日本の教育の問題を指摘。イギリス学寮での幅広い教育がされているのに対して,日本は教養部が廃止され一般教養が弱体化し教員が多忙化している。少し古い本で,著者が経験しているのはオックスフォードと東大と特異な大学で,文系理系,国公私立で違いもあろうが,大枠言いえていよう。日本の大学の現状にも厳しい言葉で指摘している。若い人に将来を託し,失われた30年を取り戻すため,大学も海外の良いところは取り入れたい。2022/09/03
gogo
7
東大からオックスフォード大に転任した比較教育学者の本。両大学間の教育の違いを論じる。興味深かったのは、オックスフォードで学部教育の中核をなす少人数教育制度「チュートリアル」についての章だ。学生は毎週大量の文献を読み、エッセイに書いてまとめ、それを元に少人数で議論し、教官が指導するというものだ。中世以来の伝統のなかで確立された制度であり、学生が学ぶことの中心には読むことがあり、その量が半端ないという。「読んで、書く」という作業の大切さと同時に、それを手助けしてくれる読書メーターの良さを再認識した。2015/01/05
Gummo
7
著者は、東大教授を経て2008年からオックスフォード大学教授を務める教育社会学者。日英(というか、東大と牛津(Oxford)大)において、大学教育のあり方が全く異なることがよく分かる。日本では、大学は「学問をする場」ではなく「体験学習の場」であり、大学で何を学んだかではなく、学生時代に大学内外で何を体験したかが問われるとの指摘にはなるほどなと思った。また、潮木守一氏による解説が分かりやすく面白い。オックスブリッジに対抗すべく地方商工都市の大学により結成されたラッセル・グループというのは初耳だった。2012/12/23
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