内容説明
浅草キッド・水道橋博士が現実という「この世」から、芸能界という「あの世」に飛び込んで数十年。そこで目撃した数多の名人、怪人の濃厚すぎる生き様を、描ききったのが本書です。そのまんま東のロマンチシズム、失われた古舘伊知郎の話芸の凄み、北野武、松本人志、ポール牧、爆笑問題etc.「藝人」が「文藝」を超えた! とすら思わせる渾身の1冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
279
浅草キッドの水道橋博士による芸人列伝。「あとがき」から先に読んでホントに良かった。言葉の魔術師が、芸人の凄みを詩的に歌いあげた名文だった。「出会いに照れるな」。これは「極度に人見知りな」水道橋博士が自身に言い聞かせていた言葉。この欠点をバネとして鋭い人間観察力を磨いた末に、面白い芸人による芸人ルポとなった。結びの「本を読む悦びは結末があることだ」は、中でも心に響いた。児玉清の「負けるのは美しく」に感動し、そのまんま東(東国原英夫)の「年中夢中」に大笑いした。2021/08/16
gonta19
76
2015/4/11 Amazonより届く。 2015/9/8〜9/18 週刊文春での連載で知った博士の「藝人春秋」が文庫化されたということで購入。噂に違わず面白かった。博士なりの切り口で藝人の凄みが浮かび上がる、独特の文才を持った人だ。そのうち、文春に連載されていたものも書籍化されるだろうが、今から楽しみである。 また、オードリー若林の解説文も素晴らしい。ピースの又吉が芥川賞受賞で注目を浴びているが、他にも文才を持った芸人さんたちが沢山居そうな気がする。2015/09/18
気付くと読メに20年いる寺
68
『藝人春秋』は以前に読んだので、ボーナストラックの『2013年の有吉弘行』とオードリー若林の解説のみ読む。かつて単行本を読んだ者をこうやってまた文庫を手に取らせる工夫がしてあるのは偉いと思う。『2013年―』は実際に見た有吉弘行と世間に明らかな履歴を絡めた秀逸な有吉論。早くから有吉を認めていたのが高田文夫の他に林家正蔵(林家こぶ平)というのも意外だが、私が若い頃にテレビ番組でこぶ平イチオシの若手芸人としてLa.おかきというコンビを紹介していたのを覚えている。このコンビの片割れが今の飯尾和樹(ずん)である。2016/11/01
山田太郎
45
根が真面目な人なんだろうけど、芸人さんなんでサービス精神出してといろいろたいへんなんだなと。このマジメさでいろいろ気に入られるのかなと思ったけど。ポール牧自殺したの覚えてなかった。軽く読めるようで結構疲れる本ではないかと。2019/02/18
なっち
36
素晴らしい観察眼であり何より文才があった。印象に残ったフレーズ『本を読む悦びは結末があることだ』(児玉清さんの章)『たけしとひとし。この二人がいるということの祝福と呪縛の狭間で我々は育った。』(北野武と松本人志を巡る30年より)ブルーハーツの甲本ヒロトと水道橋博士が名門中学の同級生だったなんて初めて知った。水道橋博士と山田ルイ53世を対談させたら面白いのではないか。オードリー若林の解説も最高。2と3も必ず読もう。2021/06/28