内容説明
関ヶ原の合戦によって豊臣家が大坂城にとじこめられてしまった時期、伊賀の忍者の頭領、霧隠才蔵は人ちがいで何者かに襲われたことから、豊臣・徳川の争いに次第にまき込まれてゆく。生来、いかなる集団にも属することを嫌った才蔵であったが、軍師真田幸村の将器に惹かれ、甲賀の忍者、猿飛佐助とともに、豊臣家のために奮迅の働きをし、ついには徳川家康の首をねらうにいたる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
133
ハードボイルド~忍者版~といったところです。「梟の城」も良かったのですが、当方にとってはこちらの方が好みです。司馬さんにしては会話を多く用いており話がサクサク進むのでページを捲る手が止まりません。2018/06/10
とん大西
118
あぁ、面白い。司馬遼太郎×忍者で面白くないわけがない。霧隠才蔵-その名をきけば皆おそれをなす無敵の伊賀忍び。風来坊を決め込みつつ茶目っ気たっぷりにあやかし、欺き、恋をし、忍びそして敵を倒す。ダンディズム漂う「梟の城」とはちぃと趣の違うエンタメ感。風雲急をつげる太閤秀吉の亡骸・大坂城。関ヶ原に勝利したとはいえ、天下の行く末に不安を残す江戸公儀。大坂につくか江戸につくか。風にふかれるまま気の向くまま、ついに胎動する才蔵。歴史の歯車となるか。旅の道連れはこれまた猿飛佐助。好敵手同士の珍道中もなかなか乙です。2020/03/18
優希
101
面白かったです。忍者ものなのでサクサク読めます。関ヶ原の戦いをきっかけに豊臣・徳川の争いが目に見えるようでした。霧隠才蔵も巻き込まれ、幸村の軍師に惹かれたことから猿飛佐助と共に豊臣家のために働くことになるのは、戦国時代ならではのあり方を見ているようでした。徳川の首を狙っていくようですが、才蔵と佐助の狙いはうまく動いていくのでしょうか。下巻も読みます。2018/08/14
ehirano1
88
「兵法者は、おのれの技量をためし、剣名を世にあげるために勝負をかさねていくのが稼業だが、忍者は、おなじく戦国時代の必要からうまれた戦闘技術者ながら、勝負師ではない。むしろ、勝負をさけるところに、その職業の本領があった(p130)。」、と。“むしろ、勝負をさけるところに、その職業の本領があった”というのは、戦いをしないためには外交で片つけるしかない。となれば情報がモノを言う。なので今でいうスパイとしての役割を忍者が担っていたということだと思った次第です。2018/12/01
つーこ
73
司馬遼太郎好きで、戦国武将の中で真田幸村が大好きな私なのに、こんなステキな本があるの知らなかった!早速読まねば!ってことで勇んで読んだ。ま、主役は霧隠才蔵だから、幸村はあんま出てこなかったけどかっこ良く描かれていて満足。それにしても、『梟の城』の時もそうだったけど司馬遼太郎は忍びの世界の描写がすごい。見てきたかのように詳細で、深く暗く、夜の闇が怖く思える程。関ヶ原の後、誰もが周りの動向を伺い揺れ動いているこの時期だからこそ、その心の隙間に忍びは暗躍するのだろう。2014/11/21
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