内容説明
「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は、青天の霹靂のような衝撃となって江戸城を駆け抜けた。しかし、実態の江戸城中・松の廊下の刃傷事件の背後には、冷酷無比な罠が張り巡らされており――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
48
忠臣蔵って、なんで日本人皆好きなのかな、と理解したくて読み始め、浅野内匠頭、ちょっとどうよ??上に立つ人じゃないわっと思っていたら、森村誠一さんはそのスタンスでの描写で良い感じ。吉良上野介、いつも悪役にされてるけど良い人じゃない?後半、四十七士のそれぞれの人生描かれていて、武士の前に一人の人間としての人間らしさが描かれていて、それもいい。柳沢が策士すぎる。大内蔵之介が若い女を囲って子供作ってって、何やってんだか。巻末の短編は、なんで入れたのかな、、。いよいよ赤穂事件の下巻。2024/12/29
ちゃま坊
17
忠臣蔵にはずっと不満があった。吉良上野介の悪役に疑問があるからだ。意地悪をしたのは悪い。しかし殿中で切られ、最後は殺害され首までとられた。被害者と言える。その後の世論はずっと赤穂浪士の味方だ。本当の悪ははたして誰だったのか。吉良の視点から描く忠臣蔵があってもいい。2021/03/02
たくのみ
10
吉良側が悪玉ではなく、どちらも犠牲者なのだ。松の廊下の刃傷は、柳沢吉保と将軍綱吉によって仕組まれた謀略。上杉・浅野という大藩粛清のエサでしかない、殖産で自藩を潤した内匠頭と名君だった上野介がぶつかり合い、関係のない臣下達が集団的自衛権のごとく傷つけあう。権力の恐ろしさと運命に翻弄されるところが読みどころ。でも、大石内蔵助の祇園での佯狂ぶりが具体的過ぎて少し引いちゃいます。2015/06/07
miyatatsu
7
結果だけしか知らなかったのでこれを気に知ることができるのは本当に楽しみでわくわくしながら読むことが出来ました。2018/07/06
BIN
5
吉良側から見た忠臣蔵です。初っ端は颯爽とした吉良上野介ですが、本当の序盤だけです。柳沢吉保の策謀により浅野内匠頭からの吉良への賄賂なし(鰹節のみ)で、いつ賄賂くるかな、鰹節の中に仕込んでるかもとうきうきしながら確認してるのは微笑ましかった。吉良邸内の吉良直臣VS上杉家臣の対立などが描かれているのがよかった。柳沢も色部又四郎も展開を読みすぎていて、大石の行動がモロバレですな。2022/12/23