内容説明
脅迫状には25年前の秘密が書かれていた!
広告代理店に勤める辰村には、25年前から隠し続ける、友との秘密があった。それが今……。広告業界を舞台に展開する長篇ミステリー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
315
主人公の辰村は大手広告代理店の副部長であり、小説も広告業界をめぐって展開してゆくのだが、一見したところ企業小説に見えつつ、奥行きがありそうだ。しかも、辰村の感性や振る舞いは、一介のサラリーマンというよりはハードボイルドの主人公であるかのようだ。チャンドラーが描くフィリップ・マーロウのような。タフであるばかりではなく、過去の影もそうだし、悔恨を抱えた寂寥感、潔さなど条件は十分すぎるくらいに揃っている。また、小説の構造も単線的ではなく、今後も複雑な綯い交ぜのような手法で展開していきそうである。2024/08/26
ミカママ
183
いいいい、もうめちゃくちゃイイ。ひさびさの藤原伊織さん。主人公の辰村、カッコ良すぎ、女性だったら誰もが惚れます。ビジネスの最前線のお話しに、ちょっと恋愛事情も絡んできて…。ああ、私はやっぱりハードボイルドが好きだったんだなぁと再確認。一気に下巻へ☆o(≧▽≦)o 2015/12/20
KAZOO
130
藤原さんが勤めていた、宣伝業界の話です。18億円のコンペについての話で主人公が属する会社内部の対立などがはじめに出てきます。それと主人公の25年前の時代の話が絡んでもくるような書き方をされています。また「テロリストのパラソル」に出てきたバーのその後がこの巻の最後の方で出てきます。2018/01/06
nobby
128
相変わらずイオリンの描く不器用な漢の魅力は半端でない。広告代理店での巨大プロジェクトに向けてを描く物語はまだまだ静かな展開。メディアや株取引など専門的な描写の中に、少年時代の事柄や次々と個性溢れる人物達を登場させるのはお見事!成長遂げるいい若手や破天荒女子な助っ人など徐々に固まるチームを筆頭に、周囲の温かさにホッと出来る。一方で押し寄せる幼馴染2人との25年前の重い秘密…その背景にはやはり哀しい事実が潜んでいる。この先どうなるのか全く予測も出来ていないが、カレー風味のホットドッグを羨みながら、早速下巻へ♪2018/04/22
じいじ
75
この作家「雪が降る」を読んでから2作目。読友さんの感動的な感想に促されて読んだ。期待にたがわぬ面白さだ。舞台設定が、私が27年間携わってきた広告業界なのだ。いやが上にも親近感を抱いて、ワクワクしながら上巻を読み終えた。随所に広告屋の専門用語が飛び出し、会話のリアルさに懐かしさを感じた。著者経歴を覗くと、日本最大手の広告代理店D通の出身ということで納得する。内容の感想は、下巻で……。2015/12/27